2015/07/18

ガーディアン紙の新編集長、Katherine Viner

 
ガーディアン紙をイギリスのリベラル新聞として、そして最も読まれているインターネット新聞として一層強固にしたチーフ・エディターAlan Rusbridgerがこの夏退任する。彼の後任のチーフ・エディターが昨年から今年にかけて選ばれ、結果は3月に発表されていた。その人は Katherine Viner(写真の方)、ガーディアン史上、初めての女性チーフ・エディター。3月にはよく記事を読まなかったのだが、その選抜方式や結果が日本から見る とあまりに凄いので、書いておきたい。

ガーディアンのチーフ・エディターは、まるで民主的な大学のような、ユニークな選抜システムで決まる。今回、29人がこの職にアプライ(つまり立 候補)した。演説会が開かれ、その後、フリーランスだがガーディアンにしばしば寄稿する人も含め、839人のガーディアン所属ジャーナリストによる投票が 行われた。その結果、獲得票数は:

1. Katherine Viner 438
2. Emily Bell 188
3. Janine Gibson 185
4. Wolfgang Blau 29

4人とも、ガーディアン・メディア・グループで既に要職に就いている人のようだが、実質的に争いをした3名が皆女性! 日本のメディアでは何十年先でも考えられないこと?

新しいチーフ・エディターについて

チーフ・エディターの選挙について

なお、Alan Rusbridgerは、来年、ガーディアン・メディア・グループの経営母体、Scott Trustの理事長に就任することが決まっている。現在のScott Trustの理事長は、Dame Liz Forgan。彼女は、かってChannel 4やBBCの幹部だった人。Scott Trustはガーディアンの編集方針には一切口を挟まないことになっている。

ガーディアン・グループは、近年本業でずっと赤字が出ているようだ。それを自動車販売会社など他業種への投資やリストラなどでカバーして凌いでき た。2年くらい前には、赤字を生み続ける紙媒体での発行から完全に撤退するらしい、という報道もあったが、今のところそうなってはいない。とにかく楽観で きない状態のようだ。世界各国の主要新聞のように、デジタル版で利益を出そうと頑張ってはいるが、どうなんだろう。ガーディアンが選んでいる方策は自社の ニュースサイトを無料にし、広告収入を増やすということのようだ。記事を有料化しているタイムズとは対照的。