2010/03/21

"London Assurance" (2010.3.20 Olivier, National Theatre)

役者の腕で見せる19世紀の喜劇
"London Assurance"

National Theatre公演
観劇日: 2010.3.20 14:00-16:40
劇場: Olivier, National Theatre


演出:Nicholas Hytner
脚本:Dion Boucicault (1820-90)
美術:Mark Thompson
衣装:Poppy Hall
照明:Neil Austin
音響:Hohn Leonard
音楽:Rachel Portman
振付:Scarlett Mackmin


出演:
都会人:
Simon Russell Beale (Sir Harcout Courtly, a fop)
Paul Ready (Charles Courtly, Harcout's son, alias Charles Hamilton)
Nick Sampson (Cool, Sir Courtly's valet)
Matt Cross (Richard Dazzle)
田舎の住人:
Mark Addy (Squire Max Harkaway, a country gentleman)
Michelle Terry (Grace Harkaway, Max's niece and ward)
Fiona Shaw (Lady Gay Spanker)
Richard Briers (Mr Adolphus Spanker, Gay's husband)
Tony Jayawardena (Mark Meddle, an attorney at law)

☆☆☆☆ / 5

コメディーが続いて、英語の理解が十分でない私にはちょいと厳しい。しかし、今回もかなり楽しめ、笑えた。今回の劇は、経験として大変楽しみにしていたし、貴重だった。というのは、19世紀の典型的な喜劇のようだからである。19世紀後半、イギリスの演劇界はそれまでにない全盛期を迎えたが、多くは通俗的音楽劇(メロドラマ)とか風俗喜劇だそうであり、20世紀のイプセンやショーなど新しいリアリズムや政治劇の到来と共に忘れられ、滅多に上演されなくなってしまった。文学史や演劇史の本で知るだけである。そう言う中から、今でも見るに値するものを探し出して上演するのも、国立劇場だから出来ること。Thank you, Nick! それもあって、多少分かりづらくても4つ星。

パンフレットによると、作者のDion Boucicault (ディオン・ブーシコー、1820-90)は、役者、演出家、プロデューサー、脚色者 (adaptor) として50年間ほどイギリス演劇界でも最も重要な人物として君臨したらしい。彼が書いたか、脚色した (adapted) 劇はなんと250本に上るそうである。彼の作風は、当時の多くの劇と同じく、'sensation drama'と呼ばれるもの。彼はまた、イングランドで英語で劇作をして活躍した数多いアイルランド出身作家のひとりである。(他には、コングリーブ、ファルカー、シェリダン、ワイルド、ショー、ベケットなども)。

内容はたわいないもの。お洒落な気取り屋(fop)の初老の紳士(57歳だったと思う)で都会人のSir Harcourt Courtlyが、田舎の従兄弟(?)のMax Harkawayの若い姪 Grace (18歳)と金目当ての結婚をたくらんで、召使いなど引き連れて田舎のHarkawayの屋敷に向かう。一方彼の放蕩息子で、借金取りに負われるCharlesも、友人の遊び人Dazzleの入れ知恵でHarkawayのところに避難。CharlesはGraceに一目惚れ、Graceもまんざらではない。一方、破天荒で、狩りの大好きな強者の女貴族Lady Gay SpankerがHarkawayのところにやって来ると、Sir Courtlyは何故か彼女がひどく気に入って、言い寄る。Lay SpankerはGraceとCharlesをくっつけてやろうとして、Sir Courtlyの求愛をまともに受け取る素振りをする。何をやるにもいちいちもの凄く気取った言葉使いと動作でずっこけるSir Courtlyと、ネズミが走り回る屋敷でも平気で住んでいる田舎のジェントルマンやレディー達の対比が、常に笑いを巻き起こしながら、恋と欲(性欲と金銭欲)のどたばた喜劇が進行する。

良くできた松竹新喜劇みたいな感じと言えるだろうか。クロマグロのように太ったSimon Russell Bealeはまさに藤山寛美のように上手い。気取った紳士の馬鹿馬鹿しさをたっぷり楽しませてくれる。19世紀は、スター俳優が劇場を仕切り、有名なスターを見に多くの人が劇を見に来た時代である。この劇は役者の名演を楽しむ劇だと思う。Fiona Shawは昨年の"Mother Courage and Her Children"とかなり似た役柄。子供こそ出なかったが、豪快な肝っ玉母さんぶり。彼女が最初に登場するところは、中世劇『マンカインド』で悪魔のティティビュラスが出てくるシーンを思いだした。「来るぞ、来るぞ、さあ来たーーーっ!」と観客の期待を盛り上げて、楽しませる。その他、昨年のやはりNational Theatreでの"All is Well That Ends Well"でも好演したMichelle Terryも、今回も鼻っ柱の強い小娘の役がよく似合った。半分ぼけて、思いがけないことをしてまわりをびっくりさせるAdolphus SpankerのRichard Briarも非常に楽しい。また、カメレオンのような無機質な顔つきを崩さずに、トカゲが舌を出すみたいに面白いことをチラッと言ったりする従者のCool(Nick Sampson)も大変印象に残る。

英語がはっきり分かると、もっとずっと楽しいに違いないが、それが残念!


「日本ブログ村」のランキングに参加しています。よろしければクリックをお願いします。

にほんブログ村 演劇ブログ 演劇(観劇)へ
にほんブログ村

4 件のコメント:

  1. ライオネル2010年3月22日 14:10

    面白そうですね!
    英語の・・・・都会的なもの言いと、方言が区別が付かない者は、おてあげでしょうか?・・・・私には無理かも。
    でも、動き回ってくれれば、喜劇はなんとなくたのしめますものね!
    イギリスの俳優って、キャラクターの作り方が上手いので、言葉が判らなくて、なんとなく判りますものね。

    返信削除
  2. ライオネルさま、コメントありがとうございます。

    この劇、方言は特になかったと思います。田舎紳士・淑女の姿とか態度などで、田舎風にしてあります。コメディーはやはり難しいのは、難しいですね。でも、結構どたばたのところもありますので、言葉が分からなくても表情やアクションだけで笑えるとこも多いです。個人的好みとして、主役の二人がとても好きなので、私としては、それだけでも必見でした。Yoshi

    返信削除
  3. 先日はブログに御訪問&コメントを頂き
    ありがとうございました。

    面白そうな作品ですね。
    コメディは日本語でも笑えないことがあるので
    これが外国語であれば更に大変そうな気がします。
    ミュージカルの来日公演でも「?」がいっぱい
    頭の中を飛んでたりします(笑)。

    返信削除
  4. 瀬木さま、コメントありがとうございました。お客の居ない芝居小屋みたいなブログですので、来ていただく方があれば、大変嬉しく思います。

    この作品、ステージで見られるのは大変珍しい作品で、運が良かったです。でも、コメディーにはいつも苦しめられます。まわりの人が笑えば笑う程、フラストレーションがたまっちゃって。その点、ミュージカルはまだ、音楽を楽しめれば、筋は大体分かっていれば何とかなるので、良いですね。

    返信削除