2013/11/06

アメリカの友人へのメールと福島原発処理の恐怖

先日、学生時代に知り合い、それ以降40年近く通信が続いているアメリカの友人から久しぶりにメールを貰ったので、自分や家族の近況などを知らせた。その折、日本の様子について書いているうちに原発の事にも触れざるを得なかった。親しい友人への私信として書いたものなので、いささか穏やかでない言葉も混じっているが、かえって私の偽らざる気持ちが現れているとも言える。英語だが、その原発についての部分を、ここにも載せることにしたい。

以下はその文章:

I am very angry with our stupid government which still pursues the energy policy using nuclear power despite the disastrous Fukushima accident. The accident itself is still very much an ongoing affair, and even if things go as they planned, it would take decades or perhaps more than a hundred years to contain it completely and reach the end of it. The melted core of the reactor is still in there, extremely hot and constantly emitting deadly radioactive materials which contaminate the underground and sea water around the plant. The scientists don't really know what to do with it, and they are forced to find new technological methods as they go forwards. Thus it really could turn worse again and threaten the safety of the Tokyo area if they fail to contain it. We have about 50 nuclear plants in this earthquake- and typhoon-infested country. It is a modern doomsday come true! I think we Japanese are in a collective amnesia, allowing our God-forsaken government to keep nuclear power plants. 

福島では安全な廃炉の見通しもつかず、地下水を汚染し、海に放射能を垂れ流し。海底や海産物はどんどん汚染されているだろう。一両日中にも始まるらしい4号機の1533本の使用済み燃料棒の搬出は、やらなければならないことらしいが、気の遠くなるような長く危険な作業。その間にいつ大事故が起こるかも知れず、日本のマスコミはわずかしか報じないが、他国では大変不安視しているようだ。私の友人には、事故が起こった時にどうしたら関東地方から逃げられるか真剣に悩んでいる人もいる。危険度については私にはわからないが、それについては京大の小出先生の話を聞いて欲しい。もしこの燃料棒が浸かっているプールが大地震などの事故で壊れて汚染水が周辺に流れ出てしまうと、首都圏全体が汚染の危機にさらされるくらい危険らしい。問題は、この作業がどのくらい大きな不安要因があるか、どのくらい危険かということを、素人の国民がほとんど理解していないし、政府もマスコミも知らせようとしていないということだ。更に、4号機の燃料棒は何とか取り出せても、既に炉芯が溶けて崩れている炉では、安全な炉の解体なんて夢のような話ではないだろうか。小出先生によると、今現在、その解体の技術はないそうだ。結局チェルノブイリみたいに、鉛漬けにして被ってしまうのか?その鉛などの壁も何十年か毎に取り替えねばならない。そうこうしているうちに、また福島を大地震が襲わないと誰が言えるだろうか?でもとにかく廃炉に向けた作業は進めて貰うより仕方ない。属する組織は何であれ、現場で奮闘する方々の懸命の努力には頭が下がるし、感謝したい。

東北大震災による原発事故で一歩間違えば首都圏全体が避難を迫られるような爆発になったかもしれなかった。それなのにまた原発を推進し、トルコのような地震国にまで売ろうとする政府、原発再稼働の推進をする連立政権を支持する多くの国民・・・。原発が無ければ電気の供給が不安定になったり、電気代がどんどん上がり、企業はやっていけない、と言われる。原発なしなんて、机上の空論とか、非現実的とも。しかし、目先の経済がどうなるか、というレベルの問題じゃ無いと思うが・・・。本当に東日本に住む私達自身の命の安全、そして特に小さな子供達の未来がかかっている問題だ。私も小さな子供がいたり、子供を作るつもりの若い夫婦だったら、関西以西に転職しようと必死になったかも知れない。

先々、炉芯が溶け出た炉がどうなるかは更に心配だが、まず始まるのは、4号機の燃料棒1533本 (!) の取り出し作業。これは来年いっぱいかかるらしいが、日常の雑事で紛れはしても、気が気じゃない。何だか、毎日ロシアン・ルーレットを見ているような・・・。

これを書いていて連想したのは、毒をはき続けながら暴れるドラゴンに単身戦いを挑んで、ドラゴンを退治はしたが、自らも命を落とすベーオウルフ。ドラゴンが何故暴れたかって?盗人が宝の塚から宝を盗んだから。放射能をはき出しながら暴れ続ける原発は、人間の思い上がりや強欲が生んだ、本当に黙示録的な怪物だ。メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』も思い出させるし、何より新約聖書のヨハネ黙示録を再読してみようと思った。

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