2014/01/10

カンタベリー大聖堂図書室が所蔵する最も古い印刷物

カンタベリー大聖堂図書室にある一番古い印刷物:Ackerman von Böhmen, (『ボヘミアの農夫』、 別名 Der Ackermann und der Tod、『農夫と死に神』、作者はおそらくJohannes von Tepl (c. 1360- c. 1414) )が、大聖堂のウェッブサイトで公開され、また解説されています。解説者はフランス文学研究者で書物史の専門家でもあり、ケント大学の引退された先生のDavid Shaw博士。

この刊本は1463年頃、現在のドイツ南部のババリア州の都市、バンベルグ(Bamberg)で、ドイツ人の印刷業者、アルブレヒト・プフィスター(Albrecht Pfister (c. 1420 ‎‎‎‎‎‎‎‎‎‎– c. 1466) )によって印刷されました。但、カンタベリーにあるのは上記のウェッブサイトに掲載されている1葉(2ページ)のみです。プフィスターという人はバンベルグ市でおそらく10冊程度、印刷物を刊行していて、その最初の本がこれだそうです。彼は、ヨーロッパにおいて、ラテン語以外の近代語(彼の場合、ドイツ語)の書物を始めて印刷した人で、また、印刷物に木版画を組み込んだのも彼が最初だそうです。この本にも木版画が入っているのですが、残念ながら、カンタベリーの1葉には含まれません。プフィスターは、この他に、ドイツ語とラテン語で、聖書の絵本とでも言うべき本『貧者の聖書』(Biblia Pauperum)などを印刷しています。 

有名なグーテンベルグのラテン語聖書の刊行が1455年ですから、1463年刊とは、かなり古い本です。ちなみに、1460年頃のバンベルグにおいて、プフィスターはグーテンベルグと何らかの関係があったとも考えられるそうです。しかし、使った活字は、グーテンベルグ聖書とは異なった字体をもっているようです。 

フランスの国立図書館ビブリオテック・ナショナルにはプフィスターの書物(断片では無く)が保存されていて、ウェッブで公開されています。こちらは版画も付いています。

面白そうなので、この本の現代英語訳もいつか読んで見ようと思います。こちらのサイトにあります翻訳、およびこのサイトの作成者はMichael Haldane博士。

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