2011/07/16

"Double Lesson" (Channel Four, 2011.7.15)

教師が限界に達する時
"Double Lesson"


Channel Four   2011.7.15  19:30-20:00

監督:George Kay
出演:Phil Davis (David De Gale, a secondary school teacher)

たった30分の単発ドラマ。しかも出てくる俳優はPhil Davisひとりで、場所も普通の民家の部屋と玄関口だけ。主人公が勤め先の学校で起こったことを回想するだけのドラマ。モノローグであり、ラジオドラマでも構わないような作品。にも関わらず、私にとっては、これほど衝撃を受けるドラマを見るのは年に1本もあるかないかと思う。イギリスに来て以来では、BBCの"Five Daughters"以来である。おそらく、私が20年以上教師をしていたからだろう。教壇に立った人なら、このドラマは痛切に心に迫るに違いない。しかし、一つの職業人の終わりを描いたドラマとして、素晴らしい作品。

主人公のDavid Galeは中学高校の先生。国語(English)担当のようだ。もうすぐ定年退職を控えている。しかし、妻は病気で(多分乳癌と思う)手術が間近のようで、そのストレスをかなり感じつつ生活している。彼は学校で生徒の嫌がらせにも苦しみ続けているが、自分が管理職であるために相談する人もいない(教師というのはかなり孤独な職業だ)。ある日教室で彼の我慢は限界に達し、生徒に突然暴力行為を働く。彼は殺人未遂で告発される。これから判決を受けるという朝、これまでの苦痛と孤独を淡々と振りかえる。

Phil Davisはこれまでもドラマで何度も見ている。最近では"Whiltechapel", "Sherlock", "Ashes to Ashes"などに出ているようだ。"Whitechapel"での切り裂きジャック・マニアの役は、忘れっぽい私でも良く覚えている。大変印象的な個性を持った俳優だ。演出やシナリオ執筆もする才人のようだ。今回も実力発揮で、画面に釘付けになった。

そのうち再放送もあると思うが、イギリスにおられる方は当分の間チャンネル4のサイトで見ることが出来る。是非お勧めしたい。

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