2010/10/24

"House of Games" (Almeida Theatre, 2010.10.23)


映画を基にした気楽な娯楽作品
"House of Games"

Almeida Theatre公演
観劇日:2010.10.23  15:00-16:40 (no interval)
劇場:Almeida Theatre

演出:Lindsay Posner
脚本:Richard Bean
原作(映画脚本):David Mamet
セット:Peter McKintosh
照明:Paul Pyant
作曲:Django Bates

出演:
Nancy Carroll (Dr Margaret Ford)
Michael Landes (Mike)
Trevor Cooper (George)
Dermot Crowley (Joey)
Peter De Jersey (PJ)
Amanda Drew (Trudi / Carla)
John Marquez (Bobby)
Al Weaver (Billy Hahn)

☆☆☆ / 5

主人公のDr Margaret Fordはハーバード大卒の秀才で、大学の心理学の先生。また、心理学のベストセラー作家でもある。彼女がギャンブル中毒者としてカウンセリングをしているのがBilly。Billyは最近ギャンブルで大負けして、借金に苦しんでいる、と言う。BillyをたぶらかしているMikeというギャンブラーのいる賭場にMargaretは出かけて行き、Billyの手助けをすると共に、この手のばくち打ちを観察して、謂わば、専門の研究対象とするつもりだったようだ。ところが、彼女はMikeの男性としての魅力に取り憑かれ、冷静な心理学者として観察をするつもりが、いつの間にか、Mikeと彼の率いるペテン師一味の共犯に仕立て上げられていく。しかし、観客がそう思ってやきもきしていると、更に思わぬ展開が待っていた・・・。

逆転に次ぐ逆転ー意表を突いたどんでん返しを楽しむ娯楽作品。BBCが制作し、日本でもNHKで放映された、Adrian LesterやRobert Glenister主演の「華麗なるペテン師」("Hustle")というドラマがあったが、ああいう感じの洒落た娯楽作品。多くの観客は楽しそうにくすくす笑いつつ見ていたが、私の好みとしては、テレビで見れば充分、という程度の話で、劇場にわざわざ出かけることもないと思った。でも娯楽性溢れる劇を好む方にはとても良い作品かもしれない。

役者はとても良かった。小気味よいテンポ、きびきびした台詞のやり取りが大事な劇だが、大変うまく噛み合って、ユーモアをかもし出していたと思う。特に、主演のNancy Carrollは、今年National Theatreの”After the Dance"で主演し、好評を博した人だが、繊細な表現のできる、大変魅力的な女優。ペテン師Mikeを演じたMichael Landesの二枚目ぶりも良い。お話は私にはつまらないが、俳優陣の演技を買って、☆は3つ。

劇に行くのはロンドンに戻ってきて以来初めてで、この作品は好みではなくても、劇場に行くこと自体はとても気分転換になり、楽しい午後を過ごせた。

(追記)見て損の無い楽しい作品ではある。しかし、AlmeidaのようにArt Councilから多額の公費補助を得て運営されている劇場で、こういうウェストエンドの商業劇場と全く同じような作品をやる必要があるのだろうか。また、映画の焼き直しというのも気になる。テネシー・ウィリアムズの映画のように、芝居にしても定評がある作品もあるが、しかし若い作家を発掘したりあまり上演されない古典を見いだしたりするのが、Almeidaのような劇場の役割ではないだろうか。Daily TelegraphのCharles Spencerは4つ星をつけていたが、Michael Billingtonは2つだけだったのも、そんな事も理由にあるようだ。似たような性格の劇場であり観客層も共通するDonmarと比べて見ても、いやNationalと比べてさえ、Almeidaは最近どうも覇気に欠けるような印象を持つのは私だけ・・・?


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2 件のコメント:

  1. ロンドンへ帰っていらしたんですね。
    ロンドンは寒くなり始めているのでは?
    体調はいかがですか?

    この”ハウス オブ ゲーム”の原作はマメットってなっていますが、映画の為に書いたものなんですね。
    面白そうだけど、英語が分からないと、せっかくのどんでん返しが理解できなさそうなので、私が見てももったいないだけでしょうね・・・・きっと

    ヨークのプレイは楽しく拝読しました。
    町をあげてのお祭りで、楽しそうですね。
    「何時かは行きたいリスト」の加えます。
    一日がかりですものね。

    返信削除
  2. ライオネルさま、コメントありがとうございます。ちょうどパソコンの前に座っていたところでした。

    "House of Games"、軽い娯楽作品です。英語はそれ程分からなくても多分どんでん返しがあった時は、アクションとか出演者の顔ぶれの変化で大体理解出来ます。私も隅々まで分かってはおりませんでしたが、そこそこ楽しめました。Old Vicなどに似合いそうな劇で、Almeidaでは・・・。

    主役のひとり、Michael Landesは甘いマスクのアメリカ人、なかなかの二枚目です。Hotel BabylonとかCSI Miamiなどにも出ているようです。

    ヨーク・ミステリー・プレイは確か2年に1回、7月中旬頃に開催されるようです。もし機会があれば、ヨーク見物と兼ねて行かれると良いかも知れません。但、素人芝居ですから、演劇としての完成度を期待することは出来ません。またヨークに近いリーズには、West Yorkshire Playhouseという良い劇場もあります。ブロンテ姉妹の町ハワースもこの地域ですね。Yoshi

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