2010/10/31

"Passion" (The Donmar Warehouse, 2010.10.30)

ミュージカルは苦手なので・・・・
"Passion"

The Donmar Warehouse公演
観劇日:2010.10.30  14:30-16:10 (no interval)
劇場:The Donmar Warehouse

作曲・歌詞:Stephen Sondheim
演出:Jamie Lloyd
脚本:James Lapine
セット:Christopher Oram
照明:Neil Austin
音響:Terry Jardine & Nichi Lidster for Autograph
振付:Scott Ambler
オーケストレイター:Jonathan Tunick
衣装:Poppy Hall
Musical Director & Piano: Alan Williams
(他に演奏家が8人)

出演:
Elena Roger (Fosca)
David Thaxton (Giorgio)
Scarlett Strallen (Clara)
David Birrell (Colonel Ricci)
Allan Corduner (Doctor Tambourri)
Tim Morgan (Major Rissoli / Fosca's father)

ミュージカルを最後に見たのはいつか思い出せない。そもそも、これだけ劇場に行っているのにミュージカルを見たことがほとんど無いのである(5本程度だろう)。私に向いてない、興味が持てないのだ。このブログの劇の感想を定期的に見て下さっている方は分かると思うが、私が演劇に求めるのは、社会とか歴史、人生の困難な問題(例えば、貧困や狂気)を扱うテキストに基づいたステージである。ミュージカルにもそのような作品がないとは言えない。例えば『レ・ミセラブル』など、そういう面もある。しかし、多くのミュージカルは純粋のエンタテイメントであり、現実を忘れさせるひとときの夢だろう。私が音楽に関心が薄いことも大きな原因。

と前置きが長くなってしまったが、Donmarでやったのでウェストエンドの商業劇場の公演とはちょっと違うかなと思い、久しぶりにミュージカルなるものを見て来た。でも退屈だった。大家Stephen Sondheimの作品、演出は売れっ子のJamie Lloyd。劇評では大変評判が良いようであるが(GuardianもDaily Telegraphも4つ星)、私は「ふーん」とぼんやり見ているうちに終わってしまった。しかし、ちょっとひねった筋で、演出や演技の力量が問われる面白い作品だと言うことは分かった。

ストーリーは、醜く、薄幸で、身体が大変弱いFoscaという夫に捨てられた女性がイタリアの田舎町にすんでいるが、ミラノから仕事でやってきてこの町に駐屯することになった軍人Giorgioに出会い、全身全霊をかけて愛してしまう。一方このGiorgioは、女性なら誰でも心を奪われかねない美男子(俳優のDavid Thaxtonも甘いマスクの、とってもいい男だ)。彼はミラノに美しい人妻Claraという愛人がいて、2人とも又の逢瀬を心待ちにしている。Foscaは命も危ないくらいの病身であるが、その弱々しい身体を酷使して、愛するGiorgioにつきまとって離れない。劇の中盤までは、彼女は、現代で言うところのストーカーのような存在。Giorgioは何とか彼女から逃れたいと彼女を説得するが、Foscaの愛は燃えさかるばかり。無理をするので、彼女の病状は危機的な程に悪化する。しかし、GiorgioはFoscaの命を賭けた愛に打たれ、彼女の心身の健康に段々と責任を感じるようになり、彼女をいたわり始めるが、そのいたわりの心がいつしか別の感情に変わっていくのだった・・・。

主役のFoscaを演じたElena Rogersは、私は見なかったがDonmarで"Piaf"をやってオリヴィエ賞を貰った人。パンフレットの写真を見る限りでは、かなりきれいな方に見える。しかし、真っ黒に染めた髪をひっつめにし、黒っぽい服を着て、目のまわりに深い隈をメークで入れて、病人の修道女とでも言うべき地味で悲劇的な雰囲気の役作りしていた。華やかな美人のClara (Scarlett Strallen) と良いコントラストをなしていた。ステージはイタリア風の茶を基調とした壁画が描かれた壁に、大きな扉が3つという、簡素だが、雰囲気のある舞台。

Foscaは言うならば醜いアヒルの子みたいなもので、劇の終盤では、愛の為に美しく羽ばたく、ということに観客の気持ちの中ではならなくちゃいけないのだろう。しかし私には最後までアヒルの子のままで、彼女が麗しく見える瞬間は来なかった。ただし、確かに最初は狂ったストーカーのようだったが、最後は大変哀れに思えるようにはなった。

ジャンル自体が私には向いてないが、ミュージカルをお好きな方は、楽しまれることと想像する。でもほとんどの批評家が絶賛している一方で、What's on stage.comのMichael Coveneyだけは、2つ星で、ブログのなかには、つまらなかったという人もあるようなので、皆に気に入られるとも言えないようだ。

(今回は私はまったく判断できないので、☆はつけません。)


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