2010/12/24

"The Winter's Tale" (Royal Shakespeare Company in London, 2010.12.22)

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雰囲気溢れるセットと照明、Greg HIcksの名演
"The Winter's Tale"

Royal Shakespeare Company公演
観劇日:2010.12.22  19:15-22:30
劇場:Round House, London

演出:David Farr
脚本:William Shakespeare
セット:Jon Bausor
照明:Jon Clark
音楽:Keith Clouston
音響:Martin Slavin
振付:Arthur Pita
衣装:Janet Bench
人形:Steve Tiplady


出演:
In Sicilia:
Greg Hicks (Leontes, King of Sicilia)
Sam Troughton* (Polixenes, King of Bohemia)
Kelly Hunter (Hermoine, Queen of Leontes)
David Rubin* (Antigonus, a servant of Leontes)
Noma Dumezweni (Paulina, Wife of Antigonus)
John MacKay (Camillo, a courtier of Leontes)

In Bohemia:
Larrington Walker (Old Shepherd )
Guffudd Gryn (Young Shepherd)
Brian Doherty (Autolycus)
Adam Burton* (Florizel, Polixenes's son)
Samantha Young (Perdita, Leontes's lost daughter)
*印の配役は、当初予定の俳優が病気のため、代役。

☆☆☆☆ / 5

若い時、理性が働かず感情に押し流され、大変大きな失敗をしてそれを長く後悔し続ける。しかし、当人は晩年になって人生の機微を学び、またその人にひどく傷つけられた周囲の人々も、彼/彼女の若気の過ちを許す時がやってくる、いや、そう言う時がやってきて、円熟した幸福の時が訪れて欲しい・・・私の様に老境を迎えようとする者ならは時として思うことではないか。"The Winter's Tale"は1616年に亡くなったシェイクスピアが1610年に書いた劇。この劇の執筆後まもなく彼はロンドンでの活動を止めてストラットフォードに残していた家族と合流し、おそらく静かな晩年を過ごして亡くなる。そうした年代にあった彼の胸中を反映していたと思われるメランコリックな作品だ。

この劇を見た夜も、ずっとお腹の具合が悪くて、そわそわしながら見ていた。それにも関わらず、素晴らしい上演で、大変楽しめた。前半が終わる時の仕掛けには、体調が悪くてうとうとしていた私も本当に目が覚めた。後半の始め、七色のライトに照らされた樹にPerditaが登っているシーンも非常にきれいで、印象に残る。しかしその後、後半のババリアで、前半の終わりから引き継いだセットの残骸をそのまま使ってしまったのは、成功していないと思う。あれを使ってみようというコンセプトの意味は何となく理解出来るが、一旦片付けたほうが良かった気がするが・・・。お祭りのダンスはやり過ぎで、それまで保たれていたロマンチックな雰囲気がぶち壊しになり、いただけない。しかし、それを割り引いても、全体的に、セットや照明が大変充実した、"The Winter's Tale"らしいメランコリックな雰囲気溢れる舞台だった。コンスタントに奏でられる生演奏の音楽も効果的。

俳優の演技の良し悪しを判断する眼力は私には無いのだが、しかし、今回は俳優が3人も病気のために代役だったのは、不運だった。特に、ババリア王はDarrell D'Silvaではなく、先日見た舞台でRomeoを演じていたSam Troughtonに変わっていたのは残念だった。彼では終盤が、若すぎる。Greg Hicksは、ふさぎ込んだり怒ったりしている時の演技が、特に良い。”Lear"のコーディリア同様、Perdita役のSamantha Youngが、不思議な、所謂「天然」の雰囲気があって、私にはとても印象的だった。但、TelegraphのCharles Spencerの評では、彼女の台詞は聞いておられないひどさだとのことだ。Autolycusは魅力的な役柄だが、Brian Dohertyはその割には平凡な印象。Old Shepherdを演じたLarrington Walkerの田舎くささがとても良い。PaulinaのNoma Dumezweni、CamilloのJohn Mackayなど、要所を締める実力ある名脇役ぶり。HermoineのKelly HunterはHicksの相手役として、大変説得力ある感動的な演技を見せてくれた。

代役が多いにも関わらず、RSCのアンサンブルの実力を見せてくれ、またセットや照明、音楽なども素晴らしい一級の舞台だった。


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