2010/12/24

"Romeo and Juliet" (Royal Shakespeare Company in London, 2010.12.11)

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この夏のRSCの演目の中で最も好評を得た公演
"Romeo and Juliet"

Royal Shakespeare Company公演
観劇日:2010.12.11  13:15-16:15
劇場:Round House, London

演出:Rupert Goold
脚本:William Shakespeare
セット:Tom Scutt
照明:Howard Harrison
音楽・音響:Adam Cork
振付:Giorgina Lamb
衣装:Rachel Dickson
殺陣:Terry King

出演:
David Carr (Prince of Verona)
James Howard (Paris)
Forbes Masson (Friar Laurence)

David Rubin (Lord Montague)
Simone Saunders (Lady Montague)
Sam Troughton (Romeo)
Oliver Ryan (Benvolio)
Jonjo O'Neill (Mercutio)

Richard Katz (Lord Capulet)
Christine Entwisle (Lady Capulet)
Mariah Gale (Juliet)
Joseph Arkley (Tybolt)
Noma Dumezweni (Nurse)

☆☆☆ / 5 (3.5程度)

劇評や見た方の直接の感想を聞くと、この夏のRSCの公演の中では、最も好評を得た演目のようであり、期待して出かけた。しかし、どうもこの劇は私は面白いと思ったことがほとんど無くて、今回もやや退屈した。比較的オーソドックスな演出だが、演出家はRupert Gooldであり、彼らしい新鮮さは感じられた。

最初の殺陣やその後のアクション・シーンは、火や煙などを使って迫力があり、歴史的なコスチューム劇と、近未来SFのような、たとえば『ブレード・ランナー』的雰囲気を組み合わせ、迫力ある音響と共に、観客の注意を釘付けにする。ほとんどの人が黒い服、黒の背景、そしてRound Houseの黒い壁ーイタリアの都市国家の明るさではなく、まるで『マクベス』のスコットランドや、『ハムレット』のエルシノアのような不吉な幕開けだ。但、主役の2人だけがトレーナー、ジーンズ、バスケット・シューズなどの、現代の若者のカジュアル・ウェア。またふたりは美男美女でない庶民的な風采の若者、台詞もうたいあげないであっさりしていて、他のキャラクターとのコントラストが際立っていた。若い観客には大変身近に感じるかもしれない。しかし、彼ら2人自身は魅力に乏しく、悲劇のヒーロー・ヒロインに見えない。私には、彼らが台詞を言うシーンは退屈で、眠くなった。また、台詞の美しさで聞かせるシーンがほどんどない。むしろ、強い方言などをそのまま使わせて、シェイクスピアの台詞を身近にする(あるいは壊す)ように意図している感じがある(それが悪いと言うわけではないが)。下品なマキューシオと犬みたいなベンボリオのコンビの個性が際だっていて、印象的。キャピュレットは暴力的で、妻や娘に恐れられる家長。全体的に暴力が印象的なプロダクションだ。レディー・キャピュレットが最初に現れた時、妙に生々しい印象を与える。あたかも彼女自身がこれから男を誘惑しかねないような雰囲気。他のプロダクションでのコンベンショナルな母親像とは大変異なっていた。Friar LaurenceとNurseもしっかり個性が出ていて良かった。

最後、恋人達が亡くなった後に親たちやプリンスが現れた時、今度は彼らが現代服を纏っていて、世界が変わってしまったのを感じさせる。まるで、ハムレットが死んだ後にやって来たフォーティンブラスのように。

概して、コスチュームとかアクションとか、ステージ作りが目立った公演だった。

ロミオの俳優、Sam Traughtonは、名優David Traughtonの息子だそうだ。

ちなみに、BillingtonやSpencerは主役の2人の演技を絶賛している。Billingtonはこの夏に聞いたStanley Wellsとの対談でも、この公演をかなり褒めていたが、私は大して楽しめず残念。私の鑑賞眼が鈍いこともあると思うし、またそもそも、こういう若者の恋愛劇に内容として興味が持てないことも一因だろう。

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