英語力が足りずに、せっかくの古典が味わえず
"The Rivals"
観劇日:2011.1.5 19:30-22:00
劇場:Theatre Royal Haymarket
演出:Peter Hall
脚本:Richard Brinsley Sheridan
セット:Simon Higlett
照明:Jason Taylor
音響:Greg Clarke
作曲:Mick Sands
衣装:Christopher Woods
出演:
Penelope Keith (Mrs Malaprop)
Robyn Addison (Lydia Languish, her romantic niece)
Peter Bowles (Sir Anthony Absolute, a wealthy baronet)
Tam Williams (Captain Jack Absolute, his son and mostly disguised as Ensign Beverly)
Gerard Murphy (Sir Lucas O'Trigger)
Keiron Self (Bob Acres, Jack's friend and a county bumpkin)
Tony Gardner (Falkland, Jack's friend)
Ian Connignham (Fag)
Carlyss Peer (Lucy, Lydia's clever maid)
Martin Bishop (Thomas)
今回は、私自身の英語力(特に聴解力)が不十分で、ステージで何が起こっているかほとんど分からないまま、インターミッションにまで進んでしまった。休憩の間に、連れに(3人と一緒に出かけた)幾らか説明して貰い、大分分かりかけたが、もう楽しむには遅すぎた。残念。でも見たという記録の為に、物語の筋など後で調べた事を中心にして書いておく。
(以下、劇の筋書きを書いているので、これから公演を見たり、テキストを読んだりする方は、それをご了解された上で読み進んでください。)
イギリス演劇は、ルネッサンス期の古典と、19世紀末以降(具体的には、Oscar Wildeあたりから後)の作品は良く知られ、ロンドンは勿論、世界中で上演されているが、その間に横たわる長い期間、18、19世紀の大半において活動した劇作家や彼らの作品については、現在は学者を除いて注目する人は少なく、イギリスにおいてさえ、上演の機会は非常に限られている。そうした中、Robert Brinsley Sheridan (1751-1816)はかなり知られた部類の作家であり、イギリス演劇の通史の本では必ず取り上げられる。彼の最初の作品"The Rivals" (1775)、が上演されることになり、私としてはどういうものか関心をひかれた。ただし、日本に帰省する前日の夜だったので、その前の数日色々と忙しく、テキストを読むことはおろか、うっかりプロットの下調べもせず出かけてしまった。18世紀の古めかしい英語で書かれた喜劇であるから、台詞がよく分からずに終わり、全く空振りの観劇となってしまった。
(粗筋)18世紀のBathの町。若い独身の娘Lydiaは通俗的でロマンティックな小説に夢中で、小説のお話を現実にしたような恋愛をしなくては、と堅く決めている。彼女の好意を得たい若い将校のJackは、豊かで家柄の良い自分の地位や財産を表に出しては、障害多き恋愛を夢見るLydiaを満足させられないと考えて、貧しい将校のEnsign Beverleyという架空の人物になりすます。Lydiaは、自分の保護者(guardian)のMrs Malapropの意思に反して貧しい将校と駆け落ちする、という想定に、すっかり夢中になる。一方、Jackの父親のSir Anthony AbsoluteはJackに結婚話を持ってくるが、もちろんLydiaに首ったけのJackはそんな話に耳を貸さず、2人は大げんか。しかし、その後、Jackは父が彼と結婚させようとしているのはLydiaその人であると知ることになる。Lydiaの方は、自分が恋をしていたと思っていたEnsign Beverleyが、貧しい兵士ではなく、彼女の保護者があてがおうとしている豊かなジェントルマンであること、つまりロマンティックな障害のない、保護者や親の勧める求婚者であることに大いに落胆、Jackとの結婚を強く拒絶する。
Jackの友人で、臆病な田舎紳士Bob AcresもLydiaに恋をしているが、(架空の)Ensign Beverleyの事を聞き及び、自分の友人のJackが化けた人物とは知らずに決闘を申し込む。もう一人のLydiaの求愛者であるSir Lucius O'Triggerも加わり、三つどもえの決闘になりそうな場面となる。決闘があると言う知らせを聞きつけたLydia, Mrs Malaprop, Sir Anthony等は決闘場所に駆けつけ、大騒ぎとなるが、勿論、JackとLydiaが結ばれる結末に。
最も大きな笑いは、Penelope Keith演ずるMrs Malapropのピントのはずれた言葉の誤用から生まれるそうなんだが、私は基本的な筋をつかむのにも苦労する状態で、とてもそうした言葉使いから生まれるユーモアまでは理解出来なかった。
Peter Bowlesの堅苦しい、しゃちほこばった姿や言葉使いが上手くて、可笑しい。
Peter Hallは80歳だそうである。高齢にもかかわらず、イギリス演劇シーンをリードし続ける姿に驚嘆せざるを得ない。それにしても、英語力不足は今更嘆いても仕方ないとして、良い劇評を得ている公演だけに、私の準備不足でちっとも理解出来なかったのが残念で仕方がない。
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私も以前、RSCの公演でこの作品見ました。
返信削除デビット・テナントがアブソリュートで出演していました。
その頃は、今ほど有名ではなかったので、当日にいい席が買えました。
もちろん英語はさっぱりな上に、周りが大爆笑で、悔しくて・・・・本を開きながら見ました。(照明が明るかったので、字が読めました)
それで今回、見るのを諦めました。
若い二人が主役なのに、違った演出だったそうですね。
ライオネルさま、コメントありがとうございます。
返信削除ホント、まわりが笑っている時に分からないって悔しいですね。だから特にコメディーは苦手なんですが・・・。でもあまり英語が分からなくても結構楽しいコメディーもあるから不思議です。
若い2人が主役ですか?印象は何と言っても年寄りのふたり、Peer BowlesとPenelope Keithがスターって感じでしたね。Peter Bowlesは以前に"Browning Version"をKingstonのRoseでやった時に見たんですが、上手いですねえ。その時も今回も、抑えた演技で、味がある!(と思いました)今回のJackは・・・よく分からなかったから何とも言えませんが、印象薄かったです。女性のLydiaをやったRobyn Addisonは"Survivors"というドラマで有名だそうですが(私は見たことありません)、とても可愛らしい女優さんでした。ケンブリッジ大の英文科を優等で出た秀才だそうです。 Yoshi