2011/04/11

"Rocket to the Moon" (National Theatre, 2011.4.9)

一体何が言いたいのか分からない劇
"Rocket to the Moon"

National Theatre公演
観劇日:2010.4.9  14:15-16:50
劇場:Lyttelton, National Theatre

演出:Angus Jackson
脚本:Clifford Odets
セット:Anthony Ward
照明:Mark Henderson
音響:John Leonard
音楽:Murray Gold
衣装:Rebecca Elson

出演:
Joseph Millson (Ben Stark, dentist)
Keeley Hawes (Belle Stark, Ben's wife)
Jessica Reine (Cleo Singer, Ben's secretary)
Nicholas Woodeson (Mr Prince, Belle's father)
Peter Sullivan (Phil Cooper)

☆☆ / 5

アメリカの1938年初演の劇。作者のClifford Odetsは、当時の新しいアメリカ演劇をリードしていたThe Group Theatreというカンパニーのメンバーだそうだ。プログラムによると、この劇団にはLee Strasbergも入っていて、Method Actingを定着させた重要なカンパニーでもあるらしい。Odetsは共産党のメンバーだった時も数ヶ月あり、労働運動を支援するような社会主義の劇も書いているようだ(そういうのを見たかった)。しかし、この劇は、男女関係を扱った個人的な作品。これからの人生に夢を持てず、妻に支配され、毎日のルーチンに縛られた平凡な歯科医が、20歳くらいの歯科助手の女性に夢中になって何とか自分の殻から抜け出そうともがくが、やはり元の鞘に戻らざるを得ない、と言う話。人間的には愛すべき人物で、教養も豊かだが、どうしようも無く保守的で臆病な男と、社会の因習に縛られた女性達の話。女性の描き方がとても保守的で、古めかしい感じがし、説得力無かった。まあそういう時代ではあったんだろうが、今見ると古色蒼然だ。大まかに言うと、家を守る主婦(Belle)とセクシュアリティー満開のマリリン・モンロー風の若い女(Cleo)、マリアとイブ、というパターン化されたキャラクター。当時としては革新的な作品だったんだろうけど、今やってもねえ、と思う。ただ、俳優の演技や堂々とした、お金のかかったセットは素晴らしかったので、そうした点では十分に楽しめて、見て良かったとは思う。口うるさい奥さん役でKeeley Hawesが出ていたが、出番はそう長くなく、脇役。テレビばかり出て来た彼女にとってはこれが始めての舞台。主役は歯科医を演じたJoseph Millsonと歯科助手のJessica Raine。Raineは良い俳優だ。色んな役が出来る。少し前、"Inspector Calls"で見たNicholas Woodesonが歯科医の義父の役で出ていた。

台本は読んでなくて、最初の3分の1くらいはちんぷんかんぷんでうとうとしていた。全く内容を知らない作品は難しい。イギリス人俳優が無理にアメリカ訛りの英語を話しているから、尚更英語が難しくなる。もっとよくわかると多少面白かったかも知れないけど、でもどうも何が言いたいのがはっきりしない、力のない劇だとおもう。

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