2011/04/14

"Terminus" (Maria Theatre, Young Vic, 2011.4.13)

難しい内容でさっぱり・・・
"Terminus"

Abby Theatre公演
観劇日:2011.4.13  14:45より
劇場:Young Vic

演出:Mark O'Rowe
脚本:Mark O'Rowe
セット:Jon Bausor
照明:Philip Gladwell

出演:
Olwen Fouérè  ( A )
Catherine Walker  ( B )
Declan Conlon  ( C )

☆☆ / 5

アイルランドの国立劇場、Abbey Theareの制作による、現代アイルランド演劇作品。私は、マクドナー、マクファーソンなど、幾つか見たアイルランドの劇は大いにたのしんで来たので、期待したが、今回は空振り。

登場人物は単に、A, B, Cと呼ばれている。最初に登場するA(女性)はNGO、Samaritansのボランティアで、日本の「命の電話」のような電話相談をしている。その電話相談に電話してきたのがHelenという望まない妊娠をしている若い女性で、Aが教師をしていた時の生徒。彼女はHelenが苦しんでいるのを聞いて、彼女の家に出かけ、救おうとする。Aには自分と上手く行っていない娘がいて、その娘との影をHelenに投影しているようなのだ。Bは、20歳代の若い、孤独な女性で、友人夫婦とパブに出かけるが、この夫婦がとんでもない連中で、Bをトラブルに巻き込む。Cは30歳代の男性で、恋人を捜しているが、その為に、悪魔とファウスト的な契約を結び、やがて彼自身の悪魔的正体を表し、殺人鬼と化す。3人の関連の無さそうな人物が、行ったことや夢想していることを順番に独白する。彼らの話が徐々に関連を持って全体が繋がって来るようなのだが、そのあたりが全く理解出来ない。

この劇はアイルランドのプロダクションなので、おそらく台詞は聞き取りにくいだろうと思い、予めテキストを買い、ざっとではあるが終わりまで読んでいったのだが、テキスト自体が読んでみても何が起こっているのか良く分からない。例えると、いささかジョイスのユリシーズみたいな感じの作品。セットもアクションもなく、それどころかダイアローグもなく、3人の俳優が交代で10-15分くらいずつひたすらモノローグを言う形式の劇で、現実と夢想が渾然となった内容。ネイティブは分かるのだろうが私にはハードルが高すぎる。俳優の演技は素晴らしかった。同じ分からなくても、本で読むよりは、彼らの語りを効いている方が説得力を感じた。その点では、AlmeidaがKing's Crossに在った時に見たブライアン・フリールの"Faith Healer" (2001) においてのKen Stottの名演を思い出した。Abbey Theatreの製作で、エジンバラ芸術祭で賞もとっているし、2007年初演以来、これが3回目のリバイバルだそうなので、見る人が見れば良い作品なんだろう・・・。残念!

音楽はなく、音響効果もほとんど使われず、ひたすら独白だけ。劇場はYoung Vicのメインハウスではなく、2階にあるMaria Theatre。ステージ全体が、割れた鏡の形をしており、プロセニアム・アーチは、鏡の枠になっている。

更に、この日は朝から体調が悪く、観劇の途中からひどい腹痛に見舞われて、最悪の一日だった。また、台詞にあまりにもfour-letter wordsが多いのには、かなりうんざりした。

写真はこの日のYoung Vic前。


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