2012/02/21

居酒屋、中世演劇、エンターティンメント(Katayamaさんの演劇史ブログを読んで)

Katayama (camin)さんが13世紀アラスの『葉陰の劇』を居酒屋を舞台にした劇としてブログで詳しく解説して下さった

16世紀ロンドンのRed LionなどのInn Theatresが思い出されたが、『ヘンリー4世、パート1』でプリンス・ハルがフォルスタッフと騒ぐのもBoar's HeadというInnだった。今あるロンドンの多くのフリンジもパブ・シアターである。演劇と居酒屋は切っても切り離せない。この−テーマでエッセイか論文を書く(書いた)人が居てもおかしくない。私としては、劇からは外れるが、何と言ってもサザックの陣羽織屋(The Tabard Inn)を思い出す。カンタベリー物語の始まる場所だ。

アングロ・サクソン時代の英国にも今のパブの原型とも言えるale houseが町々にあったらしい。しかし商業経済がさほど発達していなかったので、生産者がご近所の人々に飲ませるという程度であったのではないか。それがかなりしっかりした商業施設になったのはいつ頃だろうか。居酒屋や宿屋の商業的な成立と共に、そこに人を集めるための余興としての芸能、そして演劇の可能性が生まれてきたことだろう。そのあたり、これから勉強しておきたい課題が増えた。

近代初期の居酒屋のエンターティンメントで思い出したが、シェイクスピアにもしばしば言及される「熊いじめ」(bear-baiting)も居酒屋の前で行われていた記録がある。また、田舎のお祭りとしての"ale"(お酒を飲んで騒ぐご近所のパーティーみたいなものか)でも熊いじめが行われた。

Katayamaさんが書いておられるように、ラテン典礼劇が教会で厳かに行われ全盛であった頃、フランスのアラスでは居酒屋でかなり洗練された世俗劇が始まっていた。2つの演劇の流れがどう関係しているのか、全く別の伝統として捉えるべきなのか、面白い問題だ。

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