2014/04/16

ボブ・シーガー: ミッド・ウエストの風

先日、スザンヌ・ヴェガのCDは何を持っていたかなあ、と思って引き出しや棚を引っかき回していて、ボブ・シーガーのCD、”Bob Seger: Greatest Hits” を引っ張り出して、聞いている。ちょっと想い出があるので、書いておこう。

私は、35年くらい前、20歳代の半ばに、アメリカで、生でボブ・シーガーの歌を聴いている。その頃私は中西部の田舎町の大学に留学していて、毎日朝から夜寝るまで勉強だけの日々を送っていた。アメリカであろうと日本であろうと、ひとづきあいも会話をするのも苦手な私は、友達も、クラスで話す相手もおらず、また肝心の授業には全くついて行けないし、それを相談する人もおらず、毎日苦しい日々だった。

そうしたある日、多分コーヒーショップかなんかでひとりで食事を取っていたんだろうと思うが、同世代の見知らぬアメリカ人男性が話しかけてきた。彼は学部・大学院で日本語・日本文化を専攻し、日本人女性と結婚していて、日本の事を話したがっていた。その後彼と週1回くらい会うようになり、レポートの英語を直したりもしてくれるなど、お世話になったし、彼とたわいないおしゃべりをするのは、随分気分転換になった。他に話し相手も無い私には、英語のスピーキングの練習にもなったと思う。結局その面では大して上達しなかったが(^_^)。

その彼が、夏休みだっと思うが、突然、コンサートに行こうとやってきて、車に乗っけてくれ何時間もドライブして大きな野球場らしき場所に連れて行ってくれた。行ってみると、かなりの規模の、野外のロック・フェスだった。私は、日本での学生時代に色々ロックのレコードは聴いていたが、アメリカに来る前に皆売ってしまい、ポップスの事はすっかり忘れていたし、どんなグループが流行っているかも知らなかった。そのロック・フェスでは沢山のグループや歌手が出て来たが、元々知らなかった人達がほとんどだったと思う。しかし、後ろの方で出演した3グループだけは覚えている。多分最後に出て来たのが、Bob Seger and the Silver Bullet Bandだったと思う。その他に、ナザレス(Nazareth)、フォーリナー(Foreigner)も出た。この3つのバンドが一同に会するだけでも、考えて見ればロック・ファンにとってはえらく豪華なフェスだろうな、と今になって思うが、当時の私には猫に小判だった。それに、料金をその友達に払った覚えもない。きっとチケット代、安くなかっただろう。今となっては申し訳ないかぎり。ボブ・シーガーもナザレスもフォーリナーも、35年くらい経った今も音楽活動を継続している現役のロック・ミュージシャンだ。

で、前置きが長くなったが、そのボブ・シーガーが歌った曲で、未だに心に残っているのが、傑作、”Night Moves”:



はっきりとは思いだせないが、これも演奏されたのではないだろうか, “Roll Me Away”。この曲を聞くと、広大なミッド・ウェストのコーンフィールド、どこまでも続くハイウェイ、蒸し暑い夏の夜や凍り付く冬のブリザード、そして何と言ってもアメリカの広さを思い出す:



ボブ・シーガーはシカゴのミューシャンで、ニューヨークっ子のスザンヌ・ヴェガの物静かでアーバンな世界とは全く違う、ミッドウェストらしい雰囲気でいっぱい。私にとって懐かしいアメリカではある。トラック・ストップで、パンプキンパイなんかほおばりながら聞くとたまらない。アメリカらしいアメリカ。

私をこのロック・フェスに連れて行ってくれた彼とは、その後音信不通になってしまった。と言うか、アメリカで知り合った人とはほぼ関係が切れてしまっている。彼にも、もう会うことはないだろうが、もし会えたらお礼を言って食事でもご馳走したいものだ。

若いときはロックを聴いていても、歳取ったら、歌謡曲とか聞くようになるのかな、と学生時代は思っていたけど、ロックで育った世代は、いつまで経ってもロックみたいね(^_^)。とても歌謡曲なんか聴けない。だから、年寄りの冷や水でも、未だにシーガーもフォーリナーもストーンズも神経痛やら高血圧を押して活動中(^_^)。ちなみに中学生の時、私が最初に買ったLPレコードは、ステッペンウルフ、その後がドアーズとクリーム(クラプトンのバンド)。ということで、お馴染み(?)、”Born to Be Wild”で終わりにします。アメリカ映画を変えた『イージー・ライダー』のテーマソング。これも、実にアメリカ臭い! 今聞いても充分楽しい。


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