2011/03/08

ラティガン生誕百年

先週、BBCの文化紹介番組、"Culture Show"を見ていたら、今年はTerence Rattigan (1911-77) 生誕百年とのこと。その為か、ラティガン作品の上演が多くなりそうだ。まず、現在リーズのWest Yorkshire Playhouseで、彼の代表作のひとつ、"The Deep Blue Sea"をやっている(3月12日まで)。愛人を作り、夫を捨てて家を出るHesterという女性を主人公にした、『人形の家』にひねりを効かせた様な作品。Hesterという名前や不倫の問題が、ナサニエル・ホーソンの『緋文字』を連想させるのだが、偶然の一致だろうか? 今回の上演の演出はSarah Esdaile、主演は現在BBC Oneの法廷ドラマ"Silk"でも主演をしているMaxine Peake。とても存在感のある俳優。見られないのが大変残念! これのためだけでもリーズまで行きたいくらいだ。劇評としてはこちらが良い

この後は、Old Vicで、彼の最後の作品、"Cause Célèbre"。演出は、昨年、やはりラティガンの"After the Dance"の素晴らしい公演を成功させたThea Sharrock、そして主演はNiamh Cusak(ニーブ・キューザックという発音のようだ)とAnne-Marie Duffという豪華な組み合わせ。見逃せない。("After the Dance"の公演についての拙文はこちら。)CusakもDuffも、演ずる人物の性格の微妙な屈折を表現出来る、大変インテリジェンスに溢れた女優だと思う。Niamh CusakはやはりOld Vicでにおける"Dancing at the Lughnasa"での演技が大変印象に残っている。私の感想はこちら


ラティガンは、「シェイクスピア、チェーホフ、そして私」と言ったというが、その2人に肩を並べる評価が出来るかどうかともかく、彼がイングランドのチェーホフとも言うべき性格の劇作家であることは確かだろう。綿密に作られたプロット、精密な心理的、社会的観察眼、弱者への温かい視線、裕福な階級の文化やモラルとそれに収まりきれないアウトサイダーの生き辛さ、など、チェーホフと共通する面は色々とある。イギリスの劇作家で、シェイクスピアに次いで公演される人というと、誰だろう。ショー、ジョンソン、マーロー、ピンター・・・? ラティガンこそイギリス演劇上演の定番として、シェイクスピアに次いで頻繁に取り上げられて良い、素晴らしい作家だ。


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2 件のコメント:

  1. 私もラティガン、好きです。日本でももっと上演されるといいのに。

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  2. caminさま、コメントありがとうございます。

    日本語に直しても充分通用しますね。数年前に見た「ブラウニング・ヴァージョン」と「セパレート・テーブル」がとっても良かったです。前者での先生役の浅野和之さん、今も忘れられません。文化や言葉を超えて通用するところに、この作家の古典的な価値が見られると感じます。 Yoshi

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