2020/01/30

【近況】市民講座の仕事を終わりにしました。

このブログでは、元の勤務校で私がやっている市民講座について何度か書いてきた。去年はカンタベリーの歴史と文学について話した。今年は2月から3月にかけて3回、ジェフリー・チョーサーの代表作のひとつ『トロイルスとクリセイデ』について話す予定で、秋口から少しずつ準備してきた。しかし、先日、講座開始の10日頃前に事務局に問い合わせると受講申込者が不足しているので、開講できないという返事だった。随分前に一度そういうことがあったが、ここ2,3年、申込者数は極めて少なかったので、やがてこの状態になるだろうとは予想がついた。これまでも、何とか一般向きの題材を選ぼうと苦労して来たが、私は中世英文学が専攻分野なのでどうしても限界がある。中世英文学の範疇では、何をやっても、シェイクスピアやブロンテをやるようなわけにはいかない。それでも単著などが幾冊もあるような有名な先生ならともかく、私にはそんな業績は皆無で、学会の内外でまったく無名の教師であり、加えて今は引退した身なので、話を聴きたいと思う人がいなくて当然である。

そういうことで自分でも開講できないことには納得している。事務手続きや広告パンフ・チラシなどに労力や費用がかかっているのに、駄目になる可能性の高い企画を出すのも申し訳ない。そこで、今回をもって市民講座からも引退することにし、事務局からも了承して貰った。多分、向こうとしてもそうしたいところだっただろう。今後は、複数の講師によるオムニバス講座においてのみ1回だけ担当することはあるかもしれない。各講座は短いとは言え、ほぼ10年間、毎年やってきたので、終わるにあたり幾ばくかの感慨を感じている。大変丁寧にお世話下さった事務局の方々に感謝している。

また、1時間だけやっている非常勤先の科目も、今学期は7名登録し、その7名もひとりふたりと脱落し、期末試験まで残ったのは1名のみという有様だった。こんなことでは、学校に、そして親切にもお声をかけていただき、人事手続きの書類などでお世話いただいた先生に申し訳なく思っている。来年度についてはシラバスも出しており、今更辞めるわけにもいかないが、再来年度もこのまま続けて良いのかどうか、来年度が始まったら向こうの専任の先生と相談するつもりだ。

自分の頭や体の色々な能力の衰えを感じるこの頃であり、それがこうした数字に出ているのかも知れないと思った。