2011/06/08

"The School for Scandal" (Barbican)をめぐっての論争

18世紀の喜劇作家シェリダンの古典的喜劇、"The School for Scandal"が、常に実験的な試みをすることで知られるDeborah Warnerの演出、Alan Howard, Katherine Parkinson, Leo Bill他のキャストで、Barbican Theatreで上演中。大分前からこれをやることは広告などで気づいていたが、大きなBarbicanなのでチケットが売り切れることはないから、リビューなど出てから決めようと思っていたら、Guardian ("an uncharacteristically duff production"), Telegraph ("one of the most arrogant and inept productions") などで2つ星で酷評されている。非常に現代的な、ファッションショーとかLady Gagaのステージを見ているような味付けらしい。現代のセレブリティーへの狂乱や薄っぺらな大量消費文化と18世紀の、ゴシップまみれの上流階級の様子をパラレルにして見せていているようだが、それが全く空回りしているとの評価を受けた。

リビューがひどかったため、それでなくても巨大なBarbican Theatreはガラガラで、台詞が非常に虚ろに響く、と書いている観客のコメントも読んだ。劇評の影響力の大きさを感じさせる。しかし、Deborah WarnerはGuardianにBillingtonへの反論を書き、それに対しまたBillingtonが反論している。更に、捨てる神あれば拾う神あり、で、Whatsonstage.comのMichael Coveneyは逆に絶賛して5つ星をつけ、また記事のコメント欄などで、面白かったという読者の評もかなりあり、好き嫌いのはっきり分かれる上演のようだ。GuardianでもSam Nathanというコラムニストがこの劇の現代的な味付けを楽しんだと書いている。良く読まれている(と思われる)演劇ブロッガー ("There Ought to Be Clowns") も、3時間以上もある上演時間中、ほとんど退屈する時が無かった ("I was rarely bored") 、と書いている。

まだこれらの記事をちゃんと読んでいないし、また劇そのものを見てないので私は何とも言えないが、こうして上演に関して、演出家、批評家、その他のライター、そして観客や演劇ブロッガーを巻き込んで論争があること自体が実に良い。こういう中で演劇も育てられるし、観客も色んな違った意見を読んで、なるほどと教えられる。

ということで、上演が始まった時は評判が悪かったので行くのを止そうかと思っていたが、ミニ論争が巻き起こったおかげで見たくなったので切符を買ったところだ。こういう記事を読んで色々考えるのも、日本には無い (?) イギリスの舞台の楽しみ。

しかし、Charles Spencerは口が悪い。でもそれを許すイギリスの新聞や観客のふところの深さには驚く。Deborah Warnerは、大変な実績のある、大御所と言っても良い演出家だが、彼女に対し、それだけの事を書ける自信にも感心する。

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