2012/04/03

Ariana Franklin, "The Assassin's Prayer" (Bantam Books, 2010)

中世の女性検屍医アデリアのシリーズ4冊目 
Ariana Franklin, "The Assassin's Prayer"

(Bantam Books, 2010)

☆☆☆ / 5

中世のスカーペッタのような女性検屍医を主人公にしたシリーズ。これは4冊目だそうだ。私はこのシリーズの最初の一冊を読んでいて、ブログにも感想を書いている。鋭い知能と、当時の女性としては並外れた博識を武器に犯罪に立ち向かうところは、修道女フィデルマ・シリーズと似ているが、あちらは法律家、こっちは科学者(医師)である。このAriana Franklinという作家は、良く知られているDiana Normanという歴史小説家の別名だそうだ。

さて今回の作品では、主人公、Adelia Agularは、ヘンリー2世に無理矢理命じられて、王の娘Joannaがシチリアの王Williamに嫁ぐ旅に同行することになる。日本の大名行列と同じく、かなりノンビリしたスピードで、あちこち迂回したり、病人が出て長逗留したりする。更に一行の中から自然に亡くなる人だけでなく、殺害される人まで出て、Adeliaの医学や犯罪捜査、そして検屍の知識も必要とされることになる。また一行の中には、過去にAdeliaが捜査した事件で仲間が死に、Adeliaに八つ当たりの恨みを抱いている者が潜んでいて、”Adeliaの命を付け狙っていることが判明する。

今回の作品では、重要な登場人物として中世の異端、カタリ派の人達が出てくる点が私の興味を引いた。カタリ派については何も知らなかったので、楽しみながらちょっとだけかじった気分になれた。Adeliaと彼の愛人で聖オールバンズの司教Rowleyとの関係も、読んで楽しい。愛人がおり、ハンサムで強く、極めて世俗的で騎士のような司教の存在は、中世西欧らしい。シチリアのノルマン王国が、この頃転機を迎えつつあったというのも勉強になったかな(?)。この王国について、ちゃんとした歴史書を読んでみないと。

0 件のコメント:

コメントを投稿