2009/10/20

BBC One "Emma"放送中


以前旧ブログで書いたBBC Oneの"Emma"は第3回まで放送が終わり、あと1回を残すばかりとなりました。毎週日曜日の9時台に放送されています。Romola Garai扮する主人公、ドングリ眼がこぼれ落ちそうで、なかなかおかしくて笑ってしまいます。大変楽しいドラマとなりました。ストーリーは、自分自身については無知のくせに他人の結婚の事にはしきりにお節介を焼いて失敗している主人公が、そうした失敗を経て徐々に自己認識を深め成長するというお話。原作はオースティンの円熟期の作品で、大変良くできているということです。こういうロマンチック・コメディーにはあまり興味のない私にも大変楽しめます。

Michael Gambonがお父さん役で出ているのですが、ほとんどカメオ・アピアランスという程度。役者の中では、主人公とそのパートナー(John Lee Miller)以外では、経済的には苦しい生活だが、いつも陽気でおしゃべりのオールドミスMiss Batesを演じるTamsin Greigがとても印象的。

ひとつ私があらためて感じたのは、18世紀始めの田舎のジェントルマン階級とその家族の世界が如何に窮屈で狭苦しいものであったかということ。集まる時は、3,4家族とその周辺のやや社会的地位が高い人(教区司祭など)、それらの家の家庭教師、など。10数人の人が何かにつけて顔を合わせるわけです。このドラマが正確に当時の状況を反映しているとは思いませんが、閉鎖性は大体似たようなものだったのではないのでしょうか。主人公のEmma自身は、自分の村Highburyから一度も外に出たことがなく、それで充分満足という有様です。しかも、彼らは働いていないわけですから、余暇は有り余るほどです。お茶を飲んでゴシップをしたり、ダンス、散歩、ピアノ演奏、読書、ゲーム・・・、限られたメンバーで時間をつぶすのも大変。勿論周囲には沢山の農民や職人、商人などがいるのですが、階級が違う彼らとは個人として普通のつき合いは出来ないのですから不自由です。

もう一つ面白いと思ったのは、こうしたジェントルマン家族の周辺にいる人達の微妙な立場です。例えば、Miss Batesはずっと昔に亡くなった教区代理司祭の娘です。聖職者の娘ですから階級としてはジェントルマンではないにしても、労働者とは別格なのですが、経済的には非常に苦しい状況です。こういう人達、特に女性は、どこかから遺産が舞い込んでくるか、あるいは若い時に幸運な結婚をするかでなければ、人生の後半は極めて厳しかったことでしょう。親戚の居候として、片身の狭い思いをしつつ生きるか、どこかの家の使用人になり、階級を落としてしまうかでしょうか。Emmaのgovernessであった賢明なAnne Taylorは、幸運にもMr Westonと言うおっちょこちょいのジェントルマンと結婚できました(ジェイン・エアですね)。

BBCの"Emma"の公式ページは:
http://www.bbc.co.uk/programmes/b00n8s6x
但、ページ内のビデオはイギリス国内でしか見られないと思います。

写真はMiss Bates (Tamsin Greig)

2 件のコメント:

  1. Yoshi様

    ガライのエマは似合っているようですね。
    私には、ちょっと想像つきません。
    友達が言うのは、エマは世間知らずで、お金持ちのわがまま娘としてオースティンが描いているので、ピッタリだといっています。
    ちょっと、見たい気もします。

    来年、何時になるかわかりませんがララTVで「リトル・ドリッド」を放映するそうなので楽しみです。

    それと、私が、トレーラーを観れないと、いったことで、テレビ番組のhpへのリンクをやめられたようで・・・・・すみません。
    ゼヒ再開してください!トレーラーは見れなくても、番組の紹介は見たいです。よろしく!

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  2. コメントありがとうございました。”Emma"の番組公式ページURLは上の本文の中にいれました。

    ロモラ・ガライの好き嫌いは別れそうですが、今のところ番組自体は新聞評などは割合好意的のようでした。BBCドラマは特に脇役が皆良いですね。『リトル・ドリット』は私はビデオを買ってあるのですが、とても長いので見るに至っていません。そのうち・・・。 Yoshi

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