メイン・ストリートにあるThe Weaversと並んで、カンタベリーにある今も使われている古い世俗の建物の中で、最も有名なのがSir John Boys' Houseだろう。別にこれを見たいと思ってきた人で無くとも、Palace Streetでこの建物のところまで来ると(28 Palace Street)、きっと目をひかれることだろう。写真を撮っている人も時々見かける。何と言っても斜めになっているのが不思議である。私は建築当初からそういう風に建てられているのかな、と誤解していた。なぜなら、近代初期の、市内の古い建物は、2階以上がいくらか張り出したような造りのものが多いから。しかし、カンタベリー考古学協会のウェッブサイトにあるPaul Bennettさんの記述で、そうじゃないことを学んだ(Bennettさんは、この協会のディレクターで、カンタベリーの歴史、特に建築物などの考古学的側面については、並ぶものなき権威者)。
この建物は1617年におそらく建てられたと考えられている(1647年という説もある)。一方、Sir John Boysは1612年になくなったらしいので、この通称は正確ではないようだ。ちなみに、Sir John BoysはカンタベリーのRecorder(裁判官の一種)。
もうひとつのウェッブサイト("Canterbury Building")によるとこの建物は、織物商Avery Savineによって建てられた可能性が高いとのこと。破風の先端にイニシャルがあるというのが根拠。Avery Savineは外国人、おそらくフランス人、の名前である。この地域にはこうした豊かな外国人が多く住んでいたそうである。
18、19世紀にかなり大きな改築が施された。一階正面の斜めになっている大きな窓もそのひとつ。これらの改築、特に1階に設置された新たな暖炉と廊下の重みにより、建物全体が斜めにかしいだのではないか、とBennettさんは書いている。木造の建物であり、基礎となっている木材や礎石もかなり老朽化しており、根本的な補強を必要としているそうだ。いつまでこのユニークな姿を保ってくれるか、いささか心配である。
参考ウェッブサイト:
カンタベリー考古学協会
http://www.hillside.co.uk/arch/kshop/survey.html
"Canterbury Buildings: A Survey of the Buildings of Canterbury, England"
http://weblingua.hostinguk.com/invictaweb/canterburybuildings/pages/plcst28.htm
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