2010/08/15

"As You Like It" (2010.8.13, The Old Vic Theatre)

メランコリックな、黄昏時の『お気に召すまま』
"As You Like It"

Old Vic公演(The Bridge Project)
観劇日:2010.08.13  19:30-21:30
劇場:The Old Vic

演出:Sam Mendes
脚本:William Shakespeare
セット:Tom Piper
照明:Paul Pyant
音響:Simon Baker for Autograph
音楽:Mark Bennet
振付:Josh Prince
衣装:Catherine Zuber

出演:
Juliet Rylance (Rosalind)
Michelle Beck (Celia)
Michael Thomas (Duke Senior / Duke Frederick)
Christian Camargo (Orlando)
Thomas Sadouski (Touchstone, a fool)
Stephen Dillane (Jaques)
Edward Bennett (Oliver)
Alvin Epstein (Adam, Oliver's servant)

☆☆☆ / 5 (2つ星に近い)

体調があまり良くなくて、しかも夕食を食べた後で、始まった途端にコックリ、コックリ! 最初の方はあまり見て無くて、気がついたら、RosalindとCeliaはアーデンの森に到着済み・・・。やれやれ。でも、とにかく感想を書いておこう(その程度の筆者による感想ですが、お許しください)。

もともときれいなThe Old Vicの空間だが、ステージも、黄昏の気配が濃いロマンチックでメランコリックな色彩と照明だ。アーデンの森で、元気にRosalindとCeliaが駆け回るシーンはやや明るかったが、全体的にはかなり暗い照明で、くすんだ灰色の色調。演出の意図も全体をそういう方向で色づけしようとしているのかと思われる。特にChristian CamargoのOrlandoは、もうひとりのJaquesのように、ブスッとした表情。恋に胸を焦がした若者には見えないのだが、これで良いんだろうか。Rosalindは元気いっぱいにステージを飛びはね駆け回るので、この恋が彼女の独り相撲に見えた。 Juliet Rylanceは懸命の熱演だが、それがそう感じられてしまうところがいささか問題。つまり頑張ってるな、と思ってしまい、彼女の演じるキャラクターに感情移入出来ない。きれいな、可愛い人なんだが、カリスマが感じられない。小さくて、凄く痩せた人なので、変装したシーンでは、隠された女性らしさがにじみ出て欲しいのに、本当の少年のようだ。Celiaは追い出されたDukeの大事な箱入り娘で、一種のプリンセスなのだが、たくましいじゃじゃ馬のキャラクター作りをしてあり、これも私は好きになれない。追い出されたDukeは、あまり威厳がない。もう少し、偉そうな、重々しさを感じる人物表現が出来なかったものか、と思った。フールは、元気で、冗談を言う普通の若者という感じ。

という感じで、どの主要なキャラクターも、私には説得力がなかった。唯一良かったと思ったのは、特に変わった点はなく、オーソドックスだが、Stephen DillaneのJaquesかな。

The Bridge Projectというアメリカとイギリスの演劇人を結んで作る公演であるから、アメリカ人の俳優が半分くらい出ている。そのため、アメリカ英語の発音が響き、イギリスらしさが失われたのは、観客の好き好きだが、私はかなり違和感を感じた。他の劇なら気にならなかっただろうが、これはウォリックシャーの地元、アーデンの森を舞台にした牧歌劇だからだ。その為か、アーデンに来ているという感じが薄れ、まるでニューイングランドの森にいるような気がした。

コスチュームは現代服。

オーソドックスで特に癖がなく、演技に破綻もないのであるが、見終わって、すぐ忘れそうな公演。一流の俳優と演出家でなければ、まあ良かったと言えるかも知れないが・・・。これがSam Mendesの実力なのだろうか。私の大好きな劇なのだが、残念。


「日本ブログ村」のランキングに参加しています。よろしければクリックをお願いします。

にほんブログ村 演劇ブログ 演劇(観劇)へ
にほんブログ村

0 件のコメント:

コメントを投稿