2016/03/09

【イタリア映画】「ローマの教室で—我らの佳き日々—」 (2012年)

監督:ジョゼッペ・ピッチョーニ

出演:
マルゲリータ・ブイ (ジュリアーナ)
リッカルド・スカマルチョ (ジョバンニ)
ロベルト・ヘルリッカ (フィオリート)

☆☆☆☆ / 5

先日WOWOWで放送されたのを録画しておいて見た。気楽に楽しめる学園ドラマ。

ジュリアーナはローマの公立高校の校長。なかなか素敵な先生。彼女の高校へ新しい補助教員のジョバンニが着任する。金八先生みたいに肩に力は入ってない、自然体の若い男性だが、新任なので、それなりにやる気はある。彼を迎えるのはベテランの美術史(そんな授業があるのか、とちょっと驚く)の先生、フィオリート。この先生がまだ定年になってないの?と思うくらいのお爺さん。彼は哲学や文学にも詳しいようで大変なインテリだが、とてもシニカル。やる気のない生徒達に本気で教えても無駄、というような事をしばしばジョバンニに言う。彼自身、生きる希望を無くしているようで、惰性で仕事をしている。しかし、こんな教師だったら、思春期の難しい子供達をコントロールして、授業を成立させることは不可能だと思うんだけどね。

この学校は公立なので、色々と問題を抱えた子もいる。家庭に問題があり、また授業をしばしばさぼってかなり年長の男と付き合っているアンジェラ、母子家庭だが母親が出ていって帰ってこない男の子や、真面目な優等生だけど、自己破壊的なガールフレンドと付き合って大問題を起こす男の子など、色々いる。勉強だけじゃなく、これらの子供の家庭問題とか精神的問題の対応に奔走するジョバンニやジュリアーナの苦労と喜びを描く。

あまりシリアスじゃなく、大人も子供も、皆「まあ、どうにかなるさ」みたいな雰囲気を持ちつつ生きているところが良い。イタリア映画らしさかしらね。そして、かなり散文的で、特にエモーショナルなドラマにするわけでもなく、子供達のエピソードもあまり詳しく説明されないまま終わったりしているところも、かえって自然で良い。

突拍子もない、ピントの外れた老教師フィオリートは、突然大昔の卒業生から電話がかかってきて、大変な敬愛の言葉を受ける。この卒業生が非常に魅力的な大人の女性。2人は師弟のような、でも少しは恋人のような間になる。おかげで、立ち枯れた老木が突然蘇って、生きる喜びを感じ、授業でも熱弁をふるうようになるところが微笑ましい。私のような老人男性からみると、ありえないファンタジーだが、まあファンタジーとして楽しめた(^_^)。

魅力的な校長先生ジュリアーナは、母親に家出され、自分も病気になって入院する男の子を、まるで息子のように世話をする。実の母子のようになっていく2人の様子も心温まる。

アルバイトに出かけて、へとへとになって帰宅した後に見たのだが、とても癒やされた。

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