2016/01/21

【アメリカ映画】 『ショート・ターム』(”Short Term 12”) (2013年)


監督・脚本:デスティノ・ダニエル・クレットン
制作:マレン・オルソン他
音楽:ジョエル・P・ウェスト
撮影:ブレット・ボウラク

出演:
ブリー・ラーソン (グレース、施設の職員)
ジョン・ギャラガー Jr. (メーソン、施設の職員、グレースのパートナー)
ラミ・マレック (ネイト、施設の新米職員)
キース・スタンフィールド (マーカス、施設に収容されている子のひとり)
ケイトリン・デヴァー (ジェイデン、同じく収容されている子)

☆☆☆☆ / 5

先日WOWOWで放送され、録画しておいて見た。

大変良く出来た、心温まるヒューマン・ドラマ。ほとんどのアメリカ映画に興味を持てない私にも久々に楽しめた作品。大変シリアスな問題を扱いながらも、アメリカ映画らしく救いを描くことも忘れず、ちゃんとエンターテインメントにもなっている。そこが甘い、と言えるかも知れないが、勿論こういう映画もあって良い。

映画は、問題を抱えた10代の子供達を預かるグループ・ホーム(その名称が Short Term 12)を舞台にしている。この施設を取り仕切っているのは、グレースとメーソンという30才弱くらいの若いカップル。親に捨てられた子、何かの知的あるいは精神的障害のある子、行き場のない子、虐待に遭った子、色々なタイプの、雑多な問題を抱えた十数人の子が収容されており、4人の職員が面倒を見ている。そのうち、物語の中心になるのは、黒人の男の子、マーカスと、白人の女の子、ジェイデン。マーカスは18才になっており、間もなく施設を出て外の世界に放り出されるので、精神的に大変不安になっていて、それをまわりにぶつけてトラブルを起こす。一方、ジェイデンは父親から離れてここに入ってきたが、シリアスなトラブルを抱えている。

一方、施設員のグレースやメーソンもそれぞれ不幸な生い立ちを背負い、特にグレースはその心の傷から立ち直っていない。子供達の世話をしつつ、自分の中に潜むトラウマに苦しんでいる。

これ以上書くと、もしかしてこれから見る人の興味を著しく削ぐことになるので、これでやめておく。

映画の撮り方は、時としてまるでテレビのドキュメンタリー番組のよう。それが作品の内容に上手く合致している。監督で脚本も書いているデスティノ・ダニエル・クレットンは以前、実際にこのような施設で働いた経験があり、それを元に作品を構想したようだ。グレースを演じるブリー・ラーソン、ジェイソンのケイトリン・デヴァーのふたりが大変印象的な好演。

低予算のインディー映画だそうだが、批評家や映画ファンに支持されて、多くの賞を取ったそうだ。なお、この映画の主役、ブリー・ラーソン(Brie Larson)は、2015年のゴールデン・グローブ賞を取り、アカデミー賞でも4部門でノミネートされている映画 ”Room” の主演女優でもある。

0 件のコメント:

コメントを投稿