2010/11/28

"The Train Driver" (Hamstead Theatre, 2010.11.27)

鉄道線路で心中した母子を悼む運転士
"The Train Driver"



Fugard Theatre公演
観劇日:2010.11.27 15:00-16:20 (no interval)
劇場:Hamstead Theatre

脚本・演出:Athol Fugard
セット:Saul Rdomsky
照明:Mannie Manim
音響:John Leonard

出演:
Owen Sejake (Simon [Andie] Hanabe, a grave-keeper)
Sean Taylor (Roelf [Rudolf] Visagie, a train driver)

(体調が悪く、集中出来なかったので、☆はつけません)

南アフリカ共和国で実際に起こった母子心中事件に基づいて、Fugardが書き、自ら演出した作品。貧民街で暮らす母子が絶望して鉄道線路で自殺する(これは過去のことで、ステージは描かれない)。その電車を運転していたRoelfはこの事件がトラウマとなり、ノイローゼ状態で、仕事も手につかない。彼はこの気持ちを何とか整理したいと思い、無名の死者が葬られている粗末な墓地にやって来て、そこの墓守、Simon、に自分の不満や苦しみを打ち明ける。Simonは南アフリカの大地にしっかりと根付いた不思議な包容力を持つ人物で、Roelfの頑なな心を徐々にほぐしていき、Roelfにわずかな救いの気配が漂ってくるが・・・。

体調が悪く、また前夜よく眠れなくて、半分くらいうとうとしてしまったので、劇を十分味わえなかった。大変残念。Fugardは一体何を観客に訴えたいのか、どうもよく分からないまま終わってしまった。自殺した女性の事は、貧しく孤独な人生であったのだろうが、所謂無縁仏で、ほとんど何も分からないので、イメージの結びようがない。Roelfはおそらく、自分が運転していた列車がひいてしまった女性がどういう人だったかよく分からないから、尚更悩んでいるようだが。ほとんどアクションがなく、Roelfのモノローグが延々と続き、ドラマとしては単調。外国語で、100パーセント理解出来ない私としては、台詞の細かいニュアンスをかみしめることも難しいが、台本を熟読すれば面白いのかも知れない。

しかし、2人の俳優の演技はすぐれていた。特にSimonを演じた黒人俳優、キラキラ輝く目と堂々とした巨体のOwen Sejakeの存在感は素晴らしい。アフリカの俳優には、例えばJohn Kaniのように、こういうずば抜けた力強さを放つ人が時々いる。荒涼として、カラカラに乾いた荒野そのままの墓地のデザインも良く出来ていた(どこか荒野に赴いたキリストを連想)。Hamsteadの張り出し舞台のシンプルなステージに役者が2人だけ。亡くなった女性や赤子のこともよくは分からず、Simonはどこか寓意的なキャラクター。そう考えると、つかみどころが無いのは、ベケットの劇を思い起こさせる。ベケット劇のような気持ちで向き合うと良いのかも知れない。

長いモノローグの多い台詞も、なかなか難しかった。もうちょっと集中出来ていれば、と悔やまれる。

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