3月5日、ロンドン博物館の中世セクションをじっくり見てきました。何時間見ても飽きないです。時間が足りず、そのうち疲れてきて、途中で切り上げましたが、また出かけるつもりです。
靴が何足もあるのですが、子供の靴が可愛らしい! 10センチちょっと位の、大変丁寧に縫われた小さな靴!もちろん大人の靴も色々あり、おなじみ、ファッショナブルな尖った靴もあります。あの靴のつま先にはコケが詰めてあったそうです。皮にきれいな装飾が施してある贅沢な靴が何足もありました。
他では、おしゃれや身だしなみの道具に気をとられました。頭飾り(wimple)を支える針金。骨や木で作った櫛もいくつもあります。大きなコインほどしかない小さな、蓋付きの手鏡。つまようじ。耳かき!鼻眼鏡の枠。眼鏡は印刷が広まる頃から需要も高まったとの説明あり。暖かそうな子供の胴着とミトン。他に面白いものとしては、男性用ガーター。そういえばタイツみたいなものをはいていますからね。実用であるとともに、ひとに見せるアクセサリーだったとのこと。女性のヘアネット。沢山のピルグリム・バッジ(巡礼者のおみやげです)。
商人の町ロンドンの発掘品にふさわしく、商工業の人が持っていそうな日常生活の品の展示が多く、剣や鎧のような中世の騎士の武具は割合少ない感じでした。
中世のトランペットもありました。西欧でもっとも古いものとか。細くて、ながーい!人の背丈以上の長さがあったと思います。絵画にあるとおりですね。鍵も結構ありました。チェス、その他のゲームのこまがありましたが、面白いものでは、相手をだますために特別な細工をして作られた駒もあります。
St Catherineをかたどったお菓子の型も。ベーカーや菓子職人は、こうした聖者の姿をしたお菓子を作って、祝日に売り出すのだそうです。今でもありそうですね。日本なら、弘法大師羊羹、とか?
写真を沢山撮りました。そのうち、ブログにも何枚か載せたいと思いますが、とりあえず今日は文章のみで失礼。今日はこれから大学のセミナーに出かけてきます。
私も80年代に一度行きました。実用品をみるのはおもしろかったです。カタログも買ったはずなので、今度探してみます。写真は来年の公開講座に使えそうですね。
返信削除おはるさん、コメントありがとうございます。昔はこういう実用品、退屈だったんですが、最近非常に関心を持つようになり、見飽きません。品物から人々の暮らしを想像するのが楽しいです。
返信削除私は前から昔の実用品が好きでした。そうそう、昔の人の生活が身近に感じられるのがわくわくします。そもそも私が英語史を勉強した動機も単純に昔の人のことが知りたかったからなのです。絵画や陶器の美術館もいいのですが、色々見てこのごろは一番好きなのはVictoria & Albertのような工芸品だと気がつきました。ブタペストでもあまり人が行かない工芸品博物館にいってきました。だんだん年をとると、自分のすきなものがはっきりわかってくるのがいいですね。私もまた行きたくなりました。
返信削除そうでしたか。昨今は、英米の文学研究では日用品から作品の分析をするというmaterial cultureの研究が盛んになっていますね。日本の中世英文学研究でもそういう方向が出てきてほしいですね。OEの語彙を分析したUさんの研究もそういう面があると思いますが、ご多忙なので今も続けられているか、気になります。意味ある研究だと思いますので。
返信削除material culture研究については、Wikipediaにも項目がありますので、ご参考までに:http://en.wikipedia.org/wiki/Material_culture
返信削除material cultureという言葉を初めて聞きました。どうもありがとうございました。cultural studiesがさかんですが、社会の不公平のような暗いテーマに研究者の関心が集中していて、それこそがcultural studiesの王道であるかのような雰囲気がありますが、実用品の研究にももっと関心を向けて欲しいなと思います。
返信削除たとえば近刊でこういう本があります:
返信削除Tara Hamling and Catherine Richardson, eds., 'Everyday Objects:
Medieval and Early Modern Material Culture and its Meanings' (Ashgate) http://www.ashgate.com/isbn/9780754666370
日本でも、英文学会で。近代文学関連でこの種の発表を聞いたことがあります。