この季節になると学部時代の卒論の指導教授で、亡くなられたN先生を思い出す。卒業後はいつも真夏に会いに行っていたから、夏が来ると先生を思い出すようになった。暑い日は日に何度も行水します、と言われていた。E M フォースターとアイルランドの小説家ジョージ・ムーアの専門家だった。とても心優しい先生だったが、コミュニケーションが下手で、学内でも変わり者と言う事になっていたと思う。授業は、失礼ながら退屈だった気がする。小説も書き、退職されてからもずっと創作を続けて、同人誌になどに発表されていたようだ。
先生は数年会わないうちに施設に入られ、亡くなられていた。成年後見人に指定された弁護士さんが私の年賀状を見て知らせて下さった。私がもの凄く忙しかった頃とは言え、申し訳なく、大変後悔が残る。自宅に度々お邪魔しただけでなく、チケットの高価な演劇に招待して下さるなど、ご夫婦でとても親切にしていただいたのに。
学問上は大学院やイギリスで教わった先生方の影響が大きいが、学部の先生方に受けた影響は、知識では測れない大きさ。N先生は、真面目で、内向的で、人付き会いが下手。二人で座っていても、話題を見つけるのに一苦労だった。大学では変人扱いされていたようで、同僚だった先生から、「変わった方」という評をうかがったが、私には本当に親切な先生で、話は面白くないけど、内面の優しさが自然とにじみ出る方だった。考えてみると、恩師でも同僚でも、N先生のような極めて不器用な方には一度も裏切られたという記憶がない。N先生はいつも驚くほど変わらなかった。今考えると私は不器用なところだけは先生にかなり似ている。学会ではおそらくほとんど無名だったと思うが、それでも、ちゃんと単著で研究書を2冊書かれているところは、私よりずっと偉い。
奥様に先立たれ、お子さんも早く亡くされたので、今は彼の事を思い出す人は少ないかも知れない。でも私にとっては大変大きな想い出を残して下さった。夏が来ると、しきりに汗を拭いていた彼の姿がなつかしい。
お久しぶりです。
返信削除やることは山ほどあるのですが、逃避行動といいますか…ネットサーフィン中です。
インターネットは時々切れたり、ものすごく遅くなるのですが、何とかたどり着くことができました。
とてもよいお話ですね。
先生とYoshiさんの姿が目に浮かびました。
私も帰国したら、大学の恩師に会いに行こうと思いました。
Takaoさん、お忙しいようですね。お身体大切に。それにしても、写真は撮れないし、ネットはとても繋がりづらいようだし、Takaoさんにとっては院生時代や赴任前はもっとも大事な生活の一部だったことを奪われたわけですから、フラストレーションたまることでしょう。赴任地でのお仕事が成功し、早くご帰国出来て、うんざりするくらいネット・サーフィンできますように!とにかく健康にだけは気をつけて。Yoshi
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