Robert Graves, "But It Still Goes On" (Finborough Theatre, 2018.7.19)
公演 Finborough Theatre: London
観劇日:2018.7.19 7:30-9:30
劇場:Finborough Theatre
演出:Fidelis Morgan
脚本:Robert Graves (但、Fidelis Morganにより大分改変されているとのこと)
デザイン:Doug Mackie
照明:Matthew Cater
音響:Benjamin Winter
衣装:Lindsay Hill
出演:
Alan Cox (Dick Tompion, a poet)
Jack Klaff (Dick's father, a writer)
Sophie Ward (Charlotte Tompion)
Victor Gardener (David Casselis)
Rachel Pickup (Dorothy Tompion)
☆☆☆ / 5
Robert Graves 1895-1985) は小説、伝記、劇作、詩作など、様々のジャンルで活躍した大変多作な作家だった。アラビアのローレンスの伝記("Laurence of Arabia" [1927])や、BBCがテレビドラマにした歴史小説 "I Caludius" (1934), "Claudius the God" (1934)などで今も知られている。この劇は、第一次世界大戦の戦場を描いて大ヒットした劇、R. C. Sherriff, "Journey's End" の続編のような位置づけの作品としてGravesに執筆依頼された劇らしいが、出来上がった作品はプロデューサーのお気に召さず、結局お蔵入りになってしまい、今回の上演が初演とのことだ。
主人公のAlanは詩人で、第一次世界大戦中陸軍将校として出征し、熾烈な塹壕戦を経験し、大きなトラウマを背負っている。一見お調子者のような軽い態度を取っているが、内心は非常に複雑のようだ。また、豊かな有名作家の父親に養われており、その負い目もある。一家の友人のCharlotteとDavidはどちらも当時は法律の上で違法な存在だった同性愛者で、それを隠して生きている。豊かなミドルクラスの文化人達の、古き良き時代の面影がまだ残る両大戦感のサロンを描いた「客間喜劇」(a drawing room comedy)。但、Alanの抱えた戦争のトラウマに加え、二人の同性愛者を取り上げたところがこの時代としては画期的だ。特に、レズビアンを扱った劇はおそらく皆無ではなかろうか。結局この劇を上演できなかったのもそれが主な理由かも知れない。
ただし、私には台詞を聞き取るのが難しすぎ、あまり良く理解したとは言えないのが大変残念。
0 件のコメント:
コメントを投稿