2018/08/12

Sophie Treadwell, "Machinal" (Almeida Theatre, London, 2018.7.17)

Sophie Treadwell, "Machinal" (Almeida Theatre)

公演: Almeida Theatre, London
観劇日:2018.7.17 7:00-8:30
劇場:Almeida Theatre

演出:Natalie Abrahami
脚本:Sophie Treadwell
デザイン:Miriam Buether
照明:Jack Knowles
音響・音楽:Ben and max Ringham
振付:Arthur Pita
衣装:Alex Lowde

出演:
Emily Berrington (Helen, a young woman)
Jonathan Livingstone (Jones, Helen's husband)
Dowane Walcott (Helen's lover)
Denise Black (Helen's Mother)

☆☆☆☆ / 5

先月、用があって9日間ほどロンドンに行っていた。その間、3本劇を見た。もうそれから一月近く経ち、記憶力に乏しい私は殆ど何もかも忘れかけているが、記録を取っておかないと見たかどうかさえ直ぐに忘れてしまうので、ここに簡単に記録しておく。この劇はロンドンに着いた翌々日に見た作品で、短い劇(約1時間半)なのに最初の方は時差ボケでしばらくうとうとしてしまったが、それでもかなり面白かった。

この劇は1928年に書かれ、滅多に上演される事のない作品のようだ。内容は、広い意味で、フェミニスト劇と言えそうだ。近代的なオフィスで働く若い女性ヘレンが、仕事場と家庭で個性と自立への願望を圧殺される。主人公の女性は機械的な仕事をこなす事務職だが、職場では上役の(今で言えば)セクハラ・パワハラに晒され、家では女性の古い生き方の枠組に娘を押し込めようとする母親に抑圧される。彼女は愛人を作り、夫を殺し、裁判にかけられ、死刑になる。そういうストーリーを、10位の細かなエピソードに区切って、まるで映画のニューズ・フラッシュのように表現する。リアリズムではなく、特に前半、誇張した台詞や演技が多用される。所謂表現主義の作品とのこと。女性の抑圧された状況を告発すると共に、高度に産業化された社会における不毛で非人間的な労働や家庭生活を描く作品という印象を持った。

救いようのないストーリーで気分が暗くなる作品だが、見る価値はおおいにあった。

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