2011/10/01

WOWOWの『下町ロケット』を見て。

直木賞受賞作の小説を原作としたテレビドラマ(全5回)。再放送があり、妻が録画しておいてくれたので、まとめて3日で見た。とても楽しめた。

私の父は小さな下請け企業の管理職をやっていた。最初は事務所もなく、社長の自宅でそろばんをはじいていたらしい。そういう小さい会社。事務職であるから、このドラマで言うと、銀行から出向してきた経理担当の方みたいな役割だ。子供の頃、父の猛烈な働き方を見て、会社員は大変だというのをつくづく感じていた。でも、今振りかえると、大変でもとても充実していたみたいで、会社の頃の知り合いとは退職後もずっと付き合っていて、羨ましい人間関係である。ドラマを見ながら、これほど華々しくはなくても、父の職場でも、幾らかは同様の熱いシーンはあったんだろうな、と思った。

このドラマ、配役が豪華。脇役も、良く知られたベテランを配置し、下手な人がいない。だから、全体にとても厚みを感じる。ストーリーはエンターティメントなので、最後は予定調和のハッピーエンドだし、人物像も複雑なキャラクター作りがされてなくて、皆、善悪がはっきりしていることは物足りないが、番組がそういう性格なんだから仕方ないか。現実は、例えば会社の乗っ取りを謀る側にも、それなりに正当化しうるビジネス上の理屈とかモラルみたいなものがあるんだろうけどね。

寺島しのぶ、一番格好いい! 正義を守る弁護士なんて、今時食っていけないだろうけど、夢物語でも、見て楽しかった。但、彼女を見つつ引っかかったのは、では他の女性はどうか、ということ。皆、恋人とか、奥さんや母親、娘の役割。働く男達と、彼らが保護する女性達のパターン。これ、英語で言うと"patronizing"(イギリス人はとても嫌う態度)。科学者や技術者や営業部員に女性がいないじゃん! きっと現実もそういう時代だったんだよねえ。それがこのドラマを、サラリー「マン」オンリーのドラマにしてしまっていたのは残念。舞台が今の会社だったら、大分違っている(?)と思いたい。

こういう男ばかりのドラマ、イギリスではまず見ないなあ。どんなドラマでも、強い男と同様に、強い女が出てくる。たまには、時代錯誤、と思う程。つまり、そんな昔に女性の管理職がいたのか、とか。でも無理矢理でも主要なキャラクターに女性を入れる気がする。でないと、イギリス人女性が見たら気分を害するのじゃないかな。

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