2009/11/18

BBC drama, "Garrow's Law – Tales from the Old Bailey"


法廷を舞台にしたコスチューム・ドラマ
BBC drama, "Garrow's Law – Tales from the Old Bailey"

今やっている連続ドラマの中で唯一私が毎回楽しみに見ているのが、この"Garrow's Law"です(日曜夜9時、BBC One)。おそらく18世紀末頃ののOld Bailey(ロンドンの中央刑事裁判所)を舞台にした歴史・法廷ドラマ。大岡越前イギリス版? でもずっと本格的な歴史ドラマです。William Garrow(1760-1840)という人は、そんなに有名な人ではないようですが、実在した法廷弁護士(Wikipedia英語版に記述あり)。イギリスの現在の弁護のやり方が出来ていく時代に、一定の貢献をした法律家の一人のようです。18世紀が始まった頃の刑事法廷では、基本的に訴追する側の検察官が罪状を申し立て、証人を喚問したり、証拠を提出したりし、それを聞いた陪審員が有罪無罪の判断をその場で即決、裁判官が直ぐに刑を言い渡す、ということでした。テレビで見るだけでははっきり分かりませんが、恐らくその時間は1時間、いや30分もかからなかったかも知れません。恐るべき即決裁判(summary justice)。弁護側はほとんど発言を許されず、証拠の提出や証人の反対尋問もしないのが当然とされていたようです。

そういう時代に、この(ドラマの中の)William Garrowは先例を破って法廷で厳しい弁論を繰り広げ、独自の証拠を提出したり、証人を喚問したり、また、反対尋問で検察側の証人を切り崩したりして、大活躍。一躍時の人になります。でも世渡りが下手で、気短か。色々な人とぶつかり決闘までするし、野心家で目立ちたがりという俗なところもり、更に道ならぬ人妻との恋をしたりと、教育番組的ドラマではなく、歴史絵巻としての楽しさもたっぷり。

私は法制史とか、昔の裁判や法律家は専門分野とちょっと重なるので、大変興味深く見ています。200年ほど前の英国の裁判が如何にいい加減で非人間的なものであったか、驚きです。また、当時の庶民の様子や、階級差のことなども垣間見えます。

主演のGarrowを演じるのはAndrew Buchan(私は知りませんが、なかなかのハンサム。舞台でも活躍してきたらしい)。彼を助ける事務弁護士(solicitor)は舞台やテレビでお馴染みのAlun Armstrong(最近ではBBCの"New Tricks"や"Little Dorrit")、検察官にAidan Mcardle(RSCの歴史劇などで見ました)。Garrowが惹かれる国会議員の妻Lady Sarah HillにLyndey Marchal(ちょくちょく見かける、ちょっと陰りのある役が似合う女優さんです)。

惜しいことに全4回のみ。あと1回だけ。でも第2シリーズもあるらしい。もちろんDVDも発売予定です。写真はBuchanとArmstrong。番組のウェッブ・サイトは:
http://www.bbc.co.uk/programmes/b00nvt7z

(追記、2009/11/24)
先日全4回が終わった。それ程シリアスではなく、日本の時代劇みたいな感じで進行した。毎回かなり楽しめた。William Garrow役のAndrew Buchanの軽快な台詞、特に法廷での丁々発止のやりとりが特に楽しい。各回ひとつの事件が取り上げられ、同時進行のサブ・プロットとしては、GarrowとLady Sarahの恋愛感情の発展がある。更に、裁判への取り組みをめぐり、Garrowの先生役の事務弁護士(solicitor)であるJohn Suthhouse(俳優はArmstrong)との考えの違いも毎回表面化する。第3回はLady Sarahとの関係に力点が置かれすぎて、やや焦点が定まらない感じであったが、最終回は言論の自由を訴える被告が登場し、国家のあり方に関係する大きな裁判を扱っていて、シリーズのクライマックスに相応しかった。是非第2シリーズが実現することを期待したい。

0 件のコメント:

コメントを投稿