2009/11/08

"Pains of Youth" (National Theatre, 2009.11.07)


古いヨーロッパのデカダントな青春群像
"Pains of Youth"
National Theatre公演
観劇日: 2009.11.07 14:30-17:00
劇場: Cottesloe, National Theatre

☆☆/ 5

演出:Katie Mitchell
脚本:Ferdinand Bruckner
翻訳:Martin Crimp
美術:Vicki Mortimer
衣装:John Bright
照明:Jon Clark
音響:Gareth Fry
音楽:Paul Clark


出演:
Leo Bill (Petrell)
Sian Clifford (Lucy)
Laura Elphinstone (Marie)
Cara Horgan (Irene)
Jonah Russell (Alt)
Feoffrey Streatfeild (Freder)
Lydia Wilson (Desiree)


見始めて15分もたたないうちに嫌になり、この劇は私には駄目だ、と思ってしまった。若い俳優達の英語が早口でちんぷんかんぷん、キャラクターの特徴もつかめず、誰が誰かもよく分からない。最後まで見たが、一体この劇は何が言いたいのか、何を観客に感じて欲しいのか、さっぱり分からずじまい。英語が理解出来ない以上に、内容にも興味が持てず、フラストレーションの溜まった観劇となった。

場所は1923年のウィーン。同じ家に出入りする数人のブルジョワの若者達やメイドの間で繰り広げられるデカダントな恋愛(?)や欲望の絡み合いを描く。誰が誰とどうなっているのかは、よく分からないまま終わってしまった。バイセクシュアリティーや自殺願望も混じる。退廃した雰囲気としては、コクトーの『恐るべき子供達』のそれをちょっと思わせる。

演出や音楽、衣装、セット、照明などは大変スタイリッシュに統一されていて、素晴らしい。特に現代音楽と思われる背景の音楽、素早い場面転換とその間に使われる冷たい照明などのアクセントが印象に残った。若い役者達も演技が大変達者だと感じた。

20世紀初めの古いヨーロッパにおける、デカダントな若者の恋愛模様をスタイリッシュに描いた作品、ということだろうか。若者群像を描くことで、ある時代の雰囲気を鮮やかに浮かび上がらせる作品というのは、文学や映画などでよくある。日本で言えば、石原慎太郎などの太陽族の小説とか、『8月の濡れた砂』など、思い浮かぶ。しかし、それらの多くは直ぐに輝きを失ってしまう。時代や国を超えてアピールをするには、普遍的なもの、歴史の証人としての力などが必要だと思う。この作品をリバイバルする必然性はあったのだろうか。Mitchellと彼女のスタッフの腕は冴えていたが、作品そのものが、両大戦間のウィーンというファッショナブルなオブラートに包まれ、スタイリッシュな演出で飾られていても、風俗的興味以上の力を持っていないように思えた。自分の年齢のせいもあり、そもそも青春ドラマに関心が持てないということも大きいかも知れない。ちなみに、批評は、Independent紙の絶賛(5つ星)を始めとして、概してかなり好評だ。私が見る目が無いと言うこと?

2 件のコメント:

  1. 良いと評判の舞台でも、なぜか生理的に受け付けない時ってありますよね。
    私も、良くあります。

    返信削除
  2. ライオネル様、

    今回の場合、私の準備不足でした。もう少し粗筋など知っておればまた違った感想が書けたでしょう。英語のリスニングテストみたいに、どこかでまったく訳が分からなくなると、どんどん取り残される感じになります。Yoshi

    返信削除