2010/04/20

Ruth Rendell, "The Babes in the Woods" (1998; Arrow Books, 2003)

Wexford警部シリーズのクライム・ノベル
Ruth Rendell, "The Babes in the Woods" (1998; Arrow Books, 2003)

☆☆☆ / 5

現代イングランドのシャーロック・ホームズ(?)と言えるかも知れないChielf Inspector Wexfordシリーズの一冊。この本は既に一度昔読んでいるのだが、中身をすっかり忘れていて、古本の露店で安く売っていたので、また買ってしまった。ノンビリしたペースで進み、それほどサスペンスもないし、あらかじめ細かく伏線として描かれる細かい物的証拠や動機を組み合わせて謎解きをすると言った古典的な推理小説でもない。キャラクターや状況を楽しむ小説である。イギリスのクライム・ノベルの多くは、大衆的な一般小説と区別がつかなくなっていると思う。

イングランドの中部にあると思われる架空の地方都市、Kingsmarkhamでは、長雨で洪水が起こり、警部Wexfordの家にもひたひたと水が迫っている。そんな中、親が旅行に入っている間に、十代の子供2人と、彼らの家庭教師が車ごと失踪する。両親は洪水に飲み込まれたに違いないというので、潜水夫が出て水の中の捜索がなされるが見つからない。何週間も経っても見つからないままで、事件は迷宮入りしかけるが、突然、家庭教師の死体が腐乱した状態で、田舎の農地に車ごと放置されているのが発見される。だが、子供2人の行く方は依然として分からない・・・。一方、Wexford自身の家庭でも、娘のSylviaと同居しているボーイフレンドの間がおかしくなり、Wexford自身も巻き込まれ、大騒動になる。

クライム・ノベルの好きな人、特にルース・レンデルの好きな人には、結構楽しめると思う。しかし、そうでなければ、ノンビリしたペースの作品なので退屈に感じるかも知れない。レンデルの作品の中では、出来はあまり良くないかな。レンデルの小説でも、非常にシリアスなものもあるのだが、この作品は軽い感じで読めるので、エンターティンメントとしては充分手に取る価値はある。扱っている社会問題も、現代的ではあるが、それ程シリアスな書き方はされていない。

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