"Macbeth"
Cheek by Jowl公演
観劇日: 2010.4.3 14:00-16:00
劇場: Silkstreet Theatre, Barbian Centre
演出:Declan Donnellan
副演出&振付:Jane Gibson
脚本:William Shakespeare
美術:Nick Ormerod
衣装:Angie Burns
照明:Judith Greenwood
音響:Helen Atkinson
作曲:Catherine Jayes
出演:
Will Keen (Macbeth)
Anastasia Hille (Lady Macbeth)
David Collings (Duncan, the king / a doctor)
David Caves (Macduff)
Orland James (Malcolm)
Ryan Kiggel (Banquo)
Kelly Hotten (Porter / Lady Macduff)
☆☆ / 5
今日は朝から怠く、眠くて、観劇には体調が不十分。ずっとうとうとしながら見るという状態。それ故、ちゃんとしたブログを書けない。しかし、私がついうとうとしてしまうような、つまりぐいぐい引っ張ってはくれない公演だった。"Macbeth"は私の最も好きな劇のひとつ。いつも一気に引き込まれるのだが、今回はさっぱり。最後のsound and furyの名台詞のところでやっと釘付けになった。
Cheek by Jowlは随分昔に見た覚えがあるが忘れてしまった。世界中で公演をし、日本にも来ている著名な劇団。
大変コンセプチュアルな演出である。照明を落としたかなり暗い舞台。ポーターを除き、全員がずっと黒のシンプルなコスチューム。椅子になったり、壁のようなものになったりする灰色の木の箱を除き、小道具もなし。それどころか、武器も一切ない。刀を振るジェスチャー、短剣を突き刺す動作などのマイムだけで、暗殺や戦闘シーンを表現する。動きは、かなり工夫した振付がなされていて、グループで動くことが多い。その点は、コンプリシテやニーハイ・シアターを想い出させるが、しかしあの2劇団とは違い、映像は一切使わない。何も無い裸の空間を使うことは、ピーター・ブルックより徹底していた。それを補うのが、フィジカルな動き。若々しい俳優達が、舞台全面を使って、一体となって動く。
魔女は出ない。役者の集団の中から声が聞こえるだけであり、魔女の存在感、テキストにある超自然的な宿命観が感じられない。劇の冒頭のアクセントが欠け、全体的にも彼らの呪縛が感じられないので、劇の芯が外された感じを受ける。これは、魔女に代表される外的な超自然の影響を削ぎ、MacbethやLady Macbethの内面の動きに焦点を合わせるために、意図的にそうしてあるのだろうが、私にはかなり楽しみが減った感じである。
ポーターが馬鹿に派手な女性で出てきたのは、ちょっと面白い工夫だと思った。
主演のふたりには不満は無い。但、彼らの演技力を生かしたコンセプトだったのだろうか。いや、演出家の意図が、劇のテキストを殺してしまったのでは無いかと思われて仕方ない。やはりシェイクスピアは最低限、ちゃんとしたコスチュームや武器をつけてやって欲しい。ベケットや『エブリマン』ではないのだから。それに、第3の主役である魔女を声だけにしてしまうのにはがっくり。最後の魅力的な殺陣も剣のぶつかり合いがないし・・・。ウーム、色々と不満。もの凄く上手い俳優が出て、演出上の工夫も色々凝らされてあるのに、先日見たアマチュア劇団の"Antigone"の方が面白く感じるのはどうしたわけ?まあ、私の好みでないだけかもしれないけれど。
ただ、今回の上演で面白いと思ったのは、"Macbeth"には、他のシェイクスピア作品以上に道徳劇的な面が非常に強いこと。それから、MacbethとLady Macbethはひとつの人格をふたつに分けたものと見ると面白いことである(パンフレットにあったが、これはフロイトの解釈らしい)。
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Cheek by Jowlの「マクベス」、とっても興味がありました。この演出家っておもしろそうだし。
返信削除日本のブローブ座の公演の「ハムレット」と「十二夜」を見たことがあって、その2つはとっても面白かった。
魔女の出ない「マクベス」って不思議な気がしますね。
海外ツアーが多いので装置や道具をほとんど使わないのはわかりますけど・・・・魔女まではね~
ライオネル様、コメントありがとうございます。
返信削除そちらがご覧になれれば良かったですね。私にはまったくつまらない公演でした。確かにツアーが多いから大道具を使えない、という物理的制限もあるのかもしれませんね。 Yoshi