英語の番組で恐縮ですが、BBC Radio 4 の文化番組、'In Our Time'、先週木曜日のトピックは
トマス・ベケットだった。番組はウェッブから聞いたりダウンロードできる。司会のMelvyn Braggとゲストの3人の学者がヘンリー2世との関係、そして彼の暗殺の経緯などを40分にわたって議論した。逆に死後の彼のカルトの発展については、やや駆け足という感じ。彼の死について、3人の意見が幾らか異なる点が面白かった。ベケットは死後、聖人として崇められるような死を望み、謂わばドラマチックな暗殺を演出したのではないか、と Laura
Ashe は論じる。しかし、そういう解釈は、Danica
Summerlin が言うように、彼の死を深読みしすぎなのだろうか。それにしても、ベケットは数少ないイングランドの「国産」セイントで、しかも考えてみると聖者というのはアングロ・サクソン時代など、古代・中世前半までに生まれ、彼の場合のように12世紀以降に聖者伝説が作られるなんて珍しいんですねえ。
3人の学者のひとり、Michael
Stauntonはベケットに関する本を2冊出している。このページの下の方にはリーディング・リストがついていて、その中に彼の本が入っている。'The Lives of Thomas Becket' (2001)
をいくらか読んだことがある。大学の教科書として考えられた本だと思うが、英訳で一次資料の抜粋が読めて、なかなか面白く、関心のある方にはお勧めしたい。
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