それで改めてつくづく思うんだけど、私のようなぼんくらにはラテン語は本当に越えられない山だ。古英語、中英語、古仏語など大学院で勉強し、ドイツ語と古ノルド語もちょっと初等文法だけかじった。どれも、現実に使ったり、研究に利用したりするのに、沢山時間をかければ恐らく何とかなる、という感触はあった。但、専門の中英語以外は普段読む機会がほとんどないので、やがて忘れてしまったけど。でもラテン語は大学院で習い、その後も折にふれ、時間をかけてリーダーなどを読み、語学学校や留学先の大学のクラスに出た事も何度もあるが、それでも基本文法プラスアルファで足踏みである。ラテン語訳聖書など、ごく簡単なものなら翻訳がなくても何とか自分で読めると思うが、到底研究の役に立たないし、短い文章を楽しみで読めるレベルにも達しない。いつまで経っても答の分からないパズルと取り組んでいる感じ。それにも関わらずラテン語学習にはかなり時間を費やしてきた。その時間を自分の専門分野に使っていたら、結構研究できて、何本も論文が書けたと思う。但、中英語文学を勉強するためにも、多少ラテン語の引用とか読めないと困るんだよねえ・・・。以前、研究会の発表の後、偉い先生に、「ラテン語の引用の仕方がおかしい」と注意されたこともある。時々は勉強しなきゃいけないとは思うんだけど、それでなくても強い劣等感を刺激されて、自分の頭の悪さを見せつけられているようで楽しくない。
留学をする前に見たブリストル大学の中世研究センターのウェブページでは、中世ヨーロッパの歴史や文学を研究する大学院生は全員ラテン語が出来なくては駄目です、という意味の事が書いてあった。確かにそう言われればそうなんだけど。しかしそう言われると「あなたは駄目!」と端から拒否されるということになり、 「じゃあ、やめます」と言わざるを得ない(ブリストルは立派な中世劇の先生がいたので、受けようかかなり迷ったんだけど)。
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