9月12日のETV「ハートネットTV」は「歴史部のぼく」と題された一種のドキュメンタリーだった。ぱっとしない、地味で内向的な39才の中年男性の城秀樹さん(テレビ・ディレクター)が主人公。自分の孤独な高校生時代を振り返り、当時の3人の男子クラスメート(生徒会長、サッカー部のスター、やはり孤独で謎の行動を取る生徒)を訪ね歩くという番組。
ディレクターの男性は、人間関係の構築が苦手な、口下手な男性で、私も似ていて、共感できる面が大いにあった。私には彼だけでも充分に面白いのだが、彼のクラスメート達が度外れてユニークで、とっても楽しい。
まず会ったのは、当時生徒会長だった男性。どのグループ(スクール・カースト)にも入り込まず、誰とでも楽しく話が出来るスキルみたいなものを持っていたようだ。そういう人だから城さんとも仲良く話してくれた。でも昼休みは他の人とサッカーをしていて、城さんはひとりで、ちょっと寂しかった。城さん自身はそういう時はひとりで本を読んでいた。この人、今は大学の英語講師になっている。スマートで長めの髪でカジュアルな雰囲気。いかにも大学の先生という印象を与える。でもその自由な感じから、多分非常勤講師じゃないかと思った(組織に属している専任の人達は、何となく堅苦しい雰囲気がある場合が多い)。城さんが、クラスに溶け込めなかった自分について語ると、彼は、「嫌なら行かなきゃ良いんだよ」みたいなことを言う。実際、彼自身も生徒会長なのに3分の1くらい欠席していたそうだ。何だ、それ、ほとんど不登校じゃん(^_^)。飄々としていて、39才の今も若々しく、魅力的な好男子。
次に城さんが会ったのは、格好良いサッカー部のスター。城さんにとっては最もまぶしい存在だった。会った場所はライブハウス。何と今はミュージシャンとしてバンドをやっている(そんなに売れてそうもないけれど)。サッカーの方はクラブ活動どまりでそれで生きていくほどには才能が開花せず、好きな音楽の世界に進んでいて、色々と苦労もしていそうだ。でも、若々しく、楽しそうに生きていて、迷わず自分の好きな道に進んだ人のすがすがしさが漂う。高校時代は部活、部活で一日中忙しくて余裕のない毎日だったらしい。
3人目は、クラスで城さん以上にひとりで悠々と我が道を行っていた正体不明の男の子。現れたのはカフェやゲストハウスを経営する実業家。でも見た目はヒッピー風(^_^)。高校時代は突然黒板に詩を書いてみたり、他の生徒に手紙を出したり(恋文ではなく、単なる手紙だそう)。昼休みはひとりで校内の散歩。孤独感は全くなくて、不幸ではなかったみたい。当時もユニーク、今もユニーク。
これはスクール・カーストを大人になった男性の視点から考える番組だったけど、中年になった個性的な男性達の生き方を見せてくれて、とっても楽しいドキュメンタリーだった。4人の中では、城さんが未だに青春の迷いをひきずっているみたいだけど、迷いながら生きるのも良いし、そんな彼はテレビのディレクターに向いていそうだ。
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