2011/08/04

「二重被爆〜語り部・山口彊の遺言」上映会、英語でのお知らせ/セラフィールドの核燃料再処理施設閉鎖

29日のポストの末尾にも書いてありますが、ジャパン・ソサエティーのサイトでは、標記のロンドンでの上映会(8月16日17:30〜)について、英語のお知らせ、及び、予約フォームがあります。また、SOASのサイトでも英語でのお知らせが出ております。

稲塚監督の8月10日のブログによると、その時点での予約者は、65名とのこと(会場の定員は140名です)。イギリス人の方々にも見ていただきたいですね。英語字幕付きです。

折しも、カンブリアにあるセラフィールドにある核燃料再処理施設の閉鎖のニュースがBBCで報道されていました。これは日本の地震によって起こった原発問題の直接の影響です。すでに記事を翻訳なさった方がおられます。

Wikipedia英語版によると、カンブリア州西部の最大の雇用主は、ひとつはこのセラフィールドの原子燃料工場、もうひとつはBAE Systemsだそうです。後者は、イギリス最大の製造業の会社にして、最大の軍事産業専門会社です。この地域は、これらの会社に生殺与奪の権を握られていると言って良いでしょう。今回のBBCの論調も、従業員が何人解雇されるか、というのが主な問題意識のように感じます。セラフィールドの工場については、過去の大きな事故を始め、色々な問題があるようですが、この施設を存続させてきたのは、日本の原子力産業です。お客さんは日本だけなのですから。

6 件のコメント:

  1. 初めまして。英国、演劇等のキーワードから、こちらのブログに出会いました。出会えたことを感謝します。
    私は、10数年前に30歳台で、英国大学院で研究、修士号を取得した者です。専門は英語や人文系ではありませんでしたが、引き続き英国博士課程で学ぶ予定でした。が、諸事情により、帰国、現在は、英語や英国とはほとんど関係ない生活を送っております。

    一昨年より、長いブランクを経て英語の学び直しを始めました。一端として、知人の英国人から英文エッセイの添削を受けたり、英語教師の方々が中心の勉強会への出席などを続けております。

    属する勉強会で、私は夏に英語スピーチ発表の当番でしたので、思い切ってこのQI問題をテーマに選びました。持ち時間は7分ですから、私の英語ではたいしたことは言えないとも思いましたが、大人の会なのに、いつも「楽しい日常雑感」「料理」「ポジティヴ思考」「楽しい思い出」がテーマになるような暗黙のルールが醸成されていることに、疑問を感じていたことも理由の一つでした。私の主張は、YOSHIさんが以前書いていらしたように、英国ユーモアは尊重するが、そもそもユーモア番組で取り上げるということ自体問題があるし、どの文化にもジョークのネタに決してできないものがあるのではないかということや、原爆については日本から誠実にそして誠意を持って発信し続けていく必要があるので、そのために英語を磨いていきたいというものでした。
    結果は、やはりというか、「難しすぎる」「楽しいスピーチではない」など厳しい講評が半分以上でした。また、この原稿をみてもらった前述の英国人は、もう本当に、平均英国人の原爆、太平洋戦争観そのものでした。「そもそも戦争を始めた日本が悪い、自業自得だ」とか、よく言われる「タイ・マレーシア等での英国人捕虜への日本軍残虐行為を日本だってやったではないか」「単なるトリビアなのに、英国内で流される国内向けの番組のジョークを一部の日本人、マスコミが騒いだ」「アウシュビッツだって英国ユーモアではジョークのネタだ」等々、添削をしてもらっている間聞かされ続けました。つたない英語で、私が自分の意見を言うと、余計相手は自説を熱弁。正直、初めて英国人ってイヤだなと思いました。英語そのものも嫌いになりました。英国留学中も散々きつい思いはしましたが、本当に暗澹たる思いでした。

    今日、偶然こちらのブログで詳細を確認でき、英語や自分のあり方に活を入れられた思いです。
    この件については、Yoshiさんは既に一区切りをつけておられ、ご迷惑だったかもしれません。でも、感謝をお伝えしたく、長文で失礼と思いましたがコメント差し上げました。
    折々にブログ楽しみにしています。ご自愛ください。

    みみ

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  2. みみさま、

    熱のこもったコメントをいただき、大変嬉しく思いました。

    英語の勉強会での皆さんのコメントですが、その勉強会の性質が、英語を磨くだけで、話の内容はあたりさわりのないことを話そう、という雰囲気なんでしょうね。それが長続きするこつなのかもしれません。あまり一生懸命になって政治や社会について(例え英語でとは言え)議論したりすると、ちょっと気まずくなるかも知れないと他の方は思われるのでしょうか。でもやはり内容に熱意をもてる方が、話すにしても、コメントするにしても、語学も身に付くとは思います。日本人の多くが議論をする上での問題は、お互いの考えの違いを認めた上で冷静に議論するのが苦手と言うことです。当たり障りのないことばかり言って、率直な議論を避けるのが習い性になっていて、たまに歯に衣着せぬ議論をすると、今度はカッカとして感情的になったりする人が多いんじゃないでしょうか。成熟した民主主義社会であるためには、まったく考えの異なる人とでも議論して、終わったら又普通につきあえる、そういう議論の仕方を学ばないといけませんね。自戒もこめてですが。

    その意味では、お知り合いのイギリス人の反応も、彼/彼女なりに率直にイギリス人の代表的な意見を言っているのですから、「そういう見方もあるけど、でも違った見方もある、日本人の視点にも耳を傾けて何かを学ぼうという気にならないか」と問い直したいですね。特にその方が日本に関心や愛情を持つ方なら尚更です。イギリスのユーモアでは何でもジョークの種にする、アウシュビッツだって、原爆投下だって同じ、という感覚。これは文化帝国主義そのものです。私達の価値観はこれだから、あなたも認めるしかないんだよ、という19世紀の大英帝国みたいな大国主義ですね。

    でも今のイギリスは多文化・多民族社会です。あなたの英語の先生みたいな人ばかりではないことは、イギリスで大学院に行かれたみみさんなら、良くご存じの事でしょう。 Yoshi

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  3. Yoshi様
    丁寧なコメント、ありがとうございます。多くの日本人に見られる議論下手のくだり、私も自戒・反省然りです。「このようなことを相手に言ってしまった以上、怒っているだろうな・・・」と過度に気を回してしまい合うことも一要因かとも思います。

    くだんの英国人の方との関係でも、違いを認めつつ普通に付き合うとはどういうことか、考えさせられました。私も一番気になったのは、「英国ジョークでは、アウシュビッツでも何でもジョークにする、そのセンスを理解しないで騒ぐなんて」という発言でした。「原爆とQI問題の関係の本質を取り違えているようだから、この原稿は書き直したほうが良い」とのことでした。

    かつて英国で学んだ折、「何であれ、人の命や虐殺を笑いのネタにするのは嫌いです。」と毅然としていた英国人フェローが居られました。シャイな人でしたが端然としていて忘れがたい人です。このような方は、英国ではユーモアセンスがない人として、生き難いのでしょうか。

    私が今住む田舎は、自然に恵まれ良いところですが、英語母語話者で且つ、きちんと英語小論文等の添削や議論の指導をお願いできる方を見つけることが難しいです。外国の方に、日本の文化や習俗が、奇習のように見える場合があることは、十分わかります。しかし、日本で日本人相手に母語を教えることで暮らしているのなら、日本人や日本人生徒の考えにも、まず、耳を傾ける謙虚さを持って頂けたらと思う場面も時折あります。エッセイ等書いたものには、その人の人柄や思想が自然出ることが多いので、そこで、気まずくなると自分が試されます。

    ご研究、演劇鑑賞どのような具合でおられますか。こちらのブログで、いろいろ読めることを嬉しく思っております。

    どうぞ、ご自愛ください。

    みみ

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  4. みみさま、

    国籍に関わらず、教師をしているなら、個人的に生徒の考えに賛成・反対するかは別にして、最低限の人権などを除いては、自分の基準に基づいた価値判断をおしつけてはいけないのですけどね・・・。言うにしても、「あなたのような考えもあるが、こういう風にも考えられる」と言うべきでしょう。まして、エッセイの内容面の訂正なんてとんでもない。プロでないか、プロ意識が欠如していますね。また、この方のようなことは、所謂patronizingという態度で、イギリス人同士ではとても嫌がる態度のはずです。

    どこの国に行っても自分のライフスタイルや考えを守る頑固さがイギリス人らしい点ではありますが・・・。

    ところで、英作文はネイティブに教わらなくても自分で進歩できると私は思います。特にイギリスの大学院に行かれたみみさんのような方なら尚更です。

    でも多少気に入らないところのある教師のほうが、かえって色々と考えるきっかけと刺激になるかもしれませんね。 Yoshi

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    1. ご無沙汰しておりますが如何お過ごしでしょうか。
      時折、こちらのブログを読んでいます。

      私は、英国大学院では政治科学系の専攻でしたので、論文に使う定型英語表現は何とかなっても、ネィティヴの方の添削無しで英作文を上達させられるとは思いもよりませんでした。

      最近、オスカー・ワイルドの戯曲を読んでみたく思っています。YOSHIさんのように、原文の味がそのまま分かる方が羨ましいです。

      英国・日本で出会う英国人には、oxbridge等のエリートを揶揄する人が結構いるように思います。階級意識の尻尾なのでしょうか。エセインテリは御免こうむりますが、中には、人格知性に優れた方もいると思うのですが、いつも不思議です。

      みみ

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  5. みみ様、コメントありがとうございます。

    英語の作文も、英文法もネィティブの指導無しでも充分上達できます。いや、英語の勉強をするだけなら、ネィティブの指導は不要だと思います。英文は書けば良いし、文法は何冊でも文法の本を読めば良いし、そしていろいろな種類の本を年がら年中読み、話すのは自分でどんどん独白形式で話せば良いと思います。もちろん、出版したり、学術誌に投稿したりする文章は最後にプロのネイティブ・チェックが必要ですが。

    オスカー・ワイルドの英文はとても分かりやすく、昔は大学の教科書によく使われました。是非お読みになって下さい。楽しめると思います。

    おっしゃるようにイギリスは階級差が激しい社会なので、どうしてもエリートに対する風当たりも強く、逆にエリートのエリート意識も強烈な場合が多いかと思います。でも最終的には個々人の資質ですからね。ひとりひとりを判断すれば良い事でしょう。日本の場合は、逆に皆大勢の中に紛れこんで楽をしようという人が多すぎ、リーダーシップを取れる大きな器の人間が少ないことが、社会全体の問題です。特に今みたいな困難な時代においては、日本の政治、官界、経済界などのリーダーを見ると、大きな弱点のように感じます。イギリスのリーダーは、「私は能力がある、だから私にやらせろ」とどうどうと言いますが、日本のリーダーは「私では力不足ですが・・・」などと、最初から腰が引けてたりしますね。Yoshi

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