以前にも載せたことがあるかとは思うのですが、大英図書館(The British Library)の写真です。キングス・クロス=セント・パンクラスの駅のそばにあります。今週は月曜から今日木曜まで4日間ここに通いました。2枚目の写真の上にちょっと見えている古い建物は、隣接するセント・パンクラス駅の駅舎の一部です。
入るとロビーです。
日本の国会図書館と同様、リファレンス書籍を除き、本はほとんど閉架です。リーダーの登録をし、閲覧室に入って本を注文します。あるいは、あらかじめオンラインで注文しておくことも出来ます。多くの本は1時間強くらいで出て来ます。リーダーになるには英語の住所証明などが必要ですが、外国人でも、研究者でなく一般の旅行者でもリーダーの登録が可能です。また使用料は不要です。但、日本にいる間に準備をしておく必要はあるでしょう。書類を揃える上でやや面倒なのは、英語のIDです。ひとつは自筆サインを証明するもので、パスポートが一番ですが、もう一つは英語の住所が書かれた公的書類です。英語圏在住の方は銀行、クレジットカード会社や公共料金の3ヶ月以内の領収書や請求書などが便利ですが、日本に住んでおられる方でも英語である必要があるので、銀行や役所などに英語の住所を書いた書類を発行できるか問い合わせる必要があります。大学生は、おそらく大学で発行してくれるでしょう。そういう手段がない方の場合、ネットで検索すれば、公的書類を英語に翻訳する専門業者もあります。閲覧者カード(リーダーズ・パス)には写真が付きますが、それは登録の時にその場で撮ってくれます。
日本の国会図書館同様、単に閲覧室に入ってみたい、英語の本を読みたいというだけでリーダー登録をするのは面倒すぎるし、この図書館の趣旨にも合わないでしょう。何か特に調べたいテーマがある方には大変便利な施設です。研究者の方で、研究に貴重書の閲覧をしたい場合は、あらかじめ申し込む必要があるそうです。ペンは使えず、ノートは鉛筆で取るか、ノート・パソコンを持ち込みます。従って、鉛筆の用意が必要です(忘れた時は一階のギフトショップでも買えます。他の荷物やコートは地下のクロークかコインロッカーに預けます。ほとんどの人はパソコンを持ち込んでノートを取っています。
閉架書庫のほとんどは地下にあるんだろうと思いますが、ロビーからも一部がガラス張りになっていて、見ることが出来ます。
建物の前の広場と中二階にカフェ、更に一階にカフェテリアもあり、閲覧者だけでなく、旅行者も利用できます。カフェは写っていませんが、中二階部分:
また常設展 (Sir John Ritblat Gallery)、及び有料の特別展を常時やっていて、登録したリーダーだけではなく、本好きの観光客も色々楽しめます。無料の常設展では、中世の美しい彩色写本、近代小説の手稿、ビートルズの原稿、その他、多くの古典的文学作品の作者による原稿、古地図等々、色々な珍しい本や原稿が見られます。また、今は「プロパガンダ」という特別展をやっています。写真の左奥にあるのが、その大きなポスター:
勿論ギフトショップもありますよ!本も色々売っていますが、絵はがきやカード、その他、お土産になりそうな小物もたくさんあります。イギリスに行けない方でも、このギフトショップのオンラインショッピングも出来ます。大英図書館は出版もしていて、本に関する本を沢山出しており、また専門書ばかりでなく、一般向け書籍も多いです。ショップと言えば、お隣のセント・パンクラス・インターナショナルの駅もお店やレストラン、カフェなどかなりあって、お買い物の好きな人、お土産を買いたい人、余り高くない手軽な食事を取りたい人には便利です。
日本にいると遠く離れていてまず会わないような人に、ここに来ると偶然ばったり会ったりします。今週は同じ閲覧室で、日本の高専に勤めておられる友人を何度か見かけました。
閲覧室の机や椅子は、こちらの大柄の人達に合わせて作られていることもあって、とても大きくて快適です。パソコン利用の為のコンセントもあります。また、登録すれば無料で無線LANが使え、勉強しながらオンライン辞書などを使いたい時は便利です。但、利用者が多いためか、スピードがとてもゆっくりで、良く接続が切れる時もあります。従って、閉架の本の閲覧をリクエストするには、あらかじめ宿舎で大英図書館のホームページをから予約して出かけるか、着いてからなら閲覧室に備え付けのコンピュータ端末を使う方が手っ取り早いかもしれません。私の場合、利用の手順は次のようになります:
1 出かける前に図書館のホームページから目的とする本を検索し予約する。その際、利用する閲覧室を指定する。
2 図書館に着いたら、まずクロークかコインロッカーに荷物を預ける。備え付けの透明のビニール袋にノートや筆記用具など閲覧時に必要な私物を入れる。
3 リーダーズ・パスを示して、本の予約の際に指定していた閲覧室に入室。閲覧室は複数あり、どの部屋でも使えるようだ。但、開架のリファレンス書籍などの関係から自分の専門分野の閲覧室が良いかもしれない。慣れてくると、部屋の雰囲気とか友だちと打ち合わせて一緒の部屋とか(勿論おしゃべりは厳禁)、色々と好みで選ぶようだ。
4 適当な席を選び、席の番号をメモ(私はすぐ忘れるので)。
5 カウンターに行って、リーダーズ・パスを示す(つまり、名前を知らせる)と、予約していた本を持ってきてくれる。その際、席番号を言う。
途中、手洗いとか食事で退室する時は、ほとんどの人はパソコンなどを席に置いたままです。リーダーのみしか入れないのでかなり安全性は高いと思います(但、保証の限りではありません)。帰宅する際は、入り口の職員に持ち物を見せます。自分で持ち込んだ本だけは、図書館の蔵書でないか念入りに調べられます。翌日も読みたい本は、3日間まで自分用にリザーブしておくことが出来ますので、返却の際に"I want to hold this book for tomorrow"などと言うと閉架書架に戻さないで、カウンターの裏の書架に取っておいてくれます。
最後の写真は、建物の前の広場にある大きな像。Eduardo Paolozzi作で下につけてある銅板に ' "Newton" after William Blake' (1995)と銘打たれています:
この像を作ったサー・エドゥアルド・パオロッツィ (1924-2005) はスコットランド人の著名な彫刻家。この作品は1795のウィリアム・ブレイクによる版画を基に作られていて、描かれている人物は万有引力の法則で有名なサー・アイザック・ニュートンだそうです。彫刻家の意図は、科学と芸術の融合を示したいとのことのようです。ここで手にコンパスを持って何かをデザインしているニュートンの姿勢は、世界を創造している神の姿を暗示しているとのこと。詳しくはこちら。
5月に、キングスクロスのホテルに宿泊した時に、前を通りました。
返信削除初めてロンドンへ来た時はまだ、図書館は大英博物館に併設されていましたよね。
私は、ギリシャ遺跡より、本のほうが好きなので(?)博物館はそこそこに図書館見学しました。
図書館に展示されていた、シェークスピアの「ファーストフォリオ」が観たかったからなんですけど・・・・
ルイス・キャロルの直筆の手紙や、エドワード8世がシンプソン婦人に送った手紙などの展示品に感動しました。
まだ。あるのでしょうか?
完全に近代的になってしまったんですね。
ライオネルさま、コメントありがとうございます。
削除スペースは限られていますので、展示品はその都度変わりますから、有名な原稿や本が常に展示室にあるとは限らないんでしょう。でも、ファースト・フォリオやキャロルの作品とか手紙なんか、いつもありそうですが。
私は博物館と一緒になっていた時代の大英図書館に行っていないのですが、今となっては一度行っておけばよかったと、ちょっと残念です。ただし、今の大英図書館はリーダーにとってはとても使いやすいところです。
Yoshi様
返信削除大英図書館、モダンでかっこいいですね!!勉強がはかどりそうです。4日間もここで過ごされたなんて、幸せですね。(*´∀`*)
なるほど。私も大学生になってイギリスに行くことがあれば、あらかじめ日本で登録などを済ませておこうと思いました。
大変勉強になりました!ありがとうございます。m(_ _)m これからの御投稿も楽しみにしております♪
アリス様、コメントありがとうございます。
削除今も、大英図書館の閲覧室でこれを書いています。今日はWifiの調子が良いです。
私はアリスさんみたいに勉強家じゃないので、図書館好きとは言えないですが、ここは落ち着きますね。机がとても広いのが良いです。寒がりの私には、夏でもちょっと肌寒いのが欠点。
私のブログを、例えお世辞でも、楽しみにして下さるとは光栄です。今後ともよろしくお願いします。