2013/08/31

"A Midsummer Night's Dream" (Shakespeare's Globe, 2013.08.30)


馬鹿笑いで夢から叩き起こされた。
"A Midsummer Night's Dream"

Shakespeare's Globe公演
観劇日:2013.8.30   19:30-22:40
劇場:Shakespeare's Globe

演出:Dominic Dromgoole
脚本:William Shakespeare
セット:Jonathan Fensom
音楽:Claire van Kampen
振付:Siân Williams


出演:
John Light (Oberon / Theseus)
Michelle Terry (Titania / Hippolyta)
Matthew Tennyson (Puck)
Pearce Quigley (Bottom)

☆☆ / 5

見る予定にはしてなかったのだが、昨日グローブ座のそばで、夕方、妻と知人夫婦と4人で食事したので、その後のこの演目を急遽見ることにした。

町の職人達のインタールードのシーンを中心に、駄洒落たっぷりのファースになってしまい、この劇のロマンチックで幻想的な面が台無し。HermiaとHelenaのストーリーを、Bottomとインタールードが飲み込んでしまった印象だ。特に最後のインタールード・シーンは、観客の笑いを取るために延々と続き、私は本当にうんざりした。アメリカ人などの観光客がとても多くて、何でも楽しんでやろうという姿勢が、公演の内容に関して大甘になってしまう。彼らにとっては演目は、シェイクスピアでなくても、寄席の芸でも良いんだろうか。特にBottomがロバになるところと、インタールード場面がしつこく笑いを取る演技となったので、前半に比べて後半が台無し。その結果、劇全体の印象がとても悪いまま終わってしまった。

しかし、公演の発想には注目すべき点もあった。劇はエリザベス朝の衣装に身を包んだ、Theseus率いる男達と、Hippolyta率いる女たちの、一種の仮面舞踏会で始まる。互いにとても攻撃的な身振りでこの両者を対峙させる振付で、男と女の対立をテキストにある以上に強調した出だしだ。この男女の争いの強調はその後も続くが、サブプロットのファルスにかき消されがち。

TitaniaとOberon、彼らの手下の妖精達の扮装や性格付けなどから見て、全体が伝統的な「ワイルドマン/グリーンマン」(森の野人)の味付けでまとめられていた。妖精達も、角を生やし、ある者は獣の仮面をかぶり、バックスキンの衣装等をまとって、半獣半人のようだ。Puckは、凄く細い、遠くから見るとまるで十代半ばみたいな容姿の俳優で、森の妖精にぴったり。エリザベス朝のピーターパン。ちょっと風変わりな歩き方やジェスチャーで大変個性豊かで、この公演で一番印象的な造形だった。Oberonは赤銅色に日焼けした上半身をいつも見せ、とても頑丈で逞しいワイルド・マン。それに合わせるようにTitaniaとHippolytaも、無愛想で、夫に対してアグレッシブに作ってあった。そういう荒削りの野性味豊かな登場人物の造形が公演の大きな特徴だろう。

インタールードのシーンも基本は悪くはないのだが、こういう劇場とか、ウエストエンドの商業劇場でやると、観客の反応に引きずられて延々と駄洒落を引き延ばし、シェイクスピアの喜劇が、お笑いの劇になってしまいがち。それで良いなら高い切符を買って劇場に来る必要はない。監督や役者は悪のりせず、馬鹿笑いを押さえるように、さらっとした演出・演技をやって欲しいと思う。個人的には、グローブ座では喜劇は見ない方が良いと思った。

(追記)この公演、批評は概して良いようだ。こういう上演を良いと思う人がイギリスでもマジョリティーなんだろう。私は陰気な人間なもので(苦笑)。もしこれからご覧になる方がおられれば、私の感想を気にせず、素直に楽しんで下さい。

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