2011/05/25

"Oxford English Dictionary"の値段

先日コメントをお寄せ下さったBookwormさんがご自分のブログで"Oxford English Dictionary"(OED)*が欲しいと書かれていました。そこで、今のOEDの価格をチェックしてみました。

Amazon.co.jpでは、印刷版20巻セットで、¥84,972。「高い!」と思われる方も多いでしょうが、20巻です!しかも各冊の厚みや文字量は、日本の百科事典などより多いくらいでしょう。CD-Rom版で、¥25,291でした。後者の方が大分安いのですが、それはもちろん、CDは寿命があるからでしょう。PCのシステムの変化を考えると、5年程度で使えなくなるかも知れません。(但、既に前にウィンドウズ版を買われている方はアップグレード版が1万円以下でありました。)しかも、英語システム用に設計されているので、日本語システムでは不具合等がないとは保障できません。私は10年くらい前にCD-Rom版を買いましたが、ほとんど使いものになりませんでした。当時、日本の書店から買ったので、アフター・サービスがあり、日本の発売元に電話して相談しました。何度かやりとりしましたが、けっきょく埒があかず、ほとんど使わないままに終わり、大損でした。私は言語学者ではないので、それほど頻繁に必要なわけではなかったので、結局勤務先の図書館にあった紙版を利用していました。

今、OEDを使う人のほとんどは、オンラインだと思います。そのオンライン版を個人で契約すると年契約で$295、1カ月単位で$29.95です。内容を考えると、お仕事や研究に積極的に利用するような方は良いかもしれませんが、英語の好きな教養人や、自営の翻訳者、専任職を持たない研究者の方などには、かなり高価ですね。英米の大学では、ほとんどすべての学校が組織として購読しているので、学生や教員は大学図書館のオンライン資料の一部として使えます。日本でも文系学部を持つ大きな大学ではほとんど購読していると思います。オンライン・ジャーナルについて既に書いたように、こういうところに、研究者間の研究環境による差が出てしまうのです。

ところで、英語辞書のオンライン版としては、日本ではJapan Knowledgeに入っている辞書とか、研究社Online Dictionaryがあります。また海外の英語辞典で、OED程でなくて良いから、語数が多く、語源等も調べられ、更に小百科事典や類義語辞典(Thesaurus)もついているサイトとして、Merriman-Webster Unabridged Dictionary Onlineが手頃と思います。値段は、年間$29.95、1月単位で$4.95です。

今は無料のオンライン辞書・事典が無数に出来て、辞書にお金をかけるのが馬鹿馬鹿しいと思う人もいるでしょう。でも無料のものは色々な問題もあります。更に、知識を楽しむ人間は適切な支払いをして、本や辞書・事典を作る人々をサポートすることも必要です。とりわけ辞書事典は莫大な手間と時間がかかるのですから。ただし、OEDのように高価になると、資金や研究環境に恵まれない研究者には大問題です。

*"Oxford English Dictionary"をご存じない方は、ウィキペディア日本語版にも解説があります。

4 件のコメント:

  1. 投稿ありがとうございます。8万という値段もそうですが20冊を置く場所に困りますね。それより本を買ってしまうと改定も反映できないだろうし…趣味で翻訳をしているものに向かないのは確かです。

    オンライン契約もやっぱり研究者でない人には高いと感じます。現在CD-ROMがどれだけ使い物になっているかや教えていただいたMerriman-Websterの方を検討したいと思います。CD-ROMが使えそうであれば英語のOS入れるなりするのもいいかもしれないですね。

    >今は無料のオンライン辞書・事典が無数に出来て、辞書にお金をかけるのが馬鹿馬鹿しいと思う人もいるでしょう。

    と思う人もきっといるでしょうけど、私は無料のオンライン辞典にそろそろ限界を感じているところでした。そういうサービスはあくまでも妥当な質の辞書サービスで多くの広告収入を得るビジネスモデルの上成立しているので、決して学術的な使い方はできるレベルではないです。

    情報ありがとうございます。有料辞典購入、これから検討します!

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  2. Bookwormさま、コメントありがとうございます。確かにOEDは個人で持つには場所も取りすぎますね。

    Merriman-Webster Unabaridgedは1月試しに使ってみるのは、喫茶店に行くくらいの費用でできますので、学生さんなどでもクレジットカードがあれば利用可能でしょう。本格的に翻訳などをなさる方は、訳語が大切なので、研究社オンライン・ディクショナリーが適当かも知れません。Yoshi

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  3. CD-ROM4.0が日本の本屋で4万円でうられていました。正規直輸入版と書いてありました。これはMac OSでも使えるそうので、買おうかどうか迷っています。本学の図書館ではオンラインを契約してくれていないので、研究に支障がありますので、なんとかしなければ。私もWindows版のCD-ROMを以前買いましたが、パソコンの関係で大学のみとなるため使いにくくめったに使っていなくて、紙の方ばかり見ています。

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  4. おはるさん、コメントありがとうございます。コメントが一時スパム・ボックスに入っていて表示が遅れたのをお詫びします。

    おはるさんのところでさえオンラインのOEDが入ってないとは驚きました。語学の人には必須だし、それ以外の方でも、人文系の先生の多くにとって必要な道具ですよねえ。会議などで話し合い、連名で、あるいは部門として請求してはどうかと思いますが・・・。理系ではたくさんのオンラインジャーナルが入っているはずです。OEDは単に辞書ではなく、主要な研究誌同様に、研究上の主要ツールであることを強調されては如何でしょうか。さらに紙版やCD-Romと違い、OEDはコンスタントのオンラインで更新されているのですから、その意味でも専門家にはオンライン版が必要です。

    図書館がどうしても駄目なら、公費でご自分でオンライン版契約というのは如何でしょう。CD-Romはやはり一箇所でしか使えないので不便ですね。 Yoshi

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