"Macbeth" (Olivier, National Theatre)
National Theatre 公演
観劇日:2018.3.8 19:30-22:00
劇場:Olivier, National Theatre, London
演出:Rufus Norris
脚本:William Shakespeare
デザイン:Rae Smith
照明:James Farncombe
音響:Paul Arditti
音楽:Orlando Gough
衣装:Moritz Junge
出演:
Rory Kinnear (Macbeth)
Anne-Marie Duff (Lady Macbeth)
Stephen Boxer (Duncan)
Kevin Harvey (Banquo)
Parts Thakerar (Malcolm)
Patrick O'Kane (Macduff)
Trevor Fox (Porter)
Rakhee Sharma (Fleance)
Penny Layden (Ross)
☆ / 5
う〜ん、とうならざるを得ない公演だった。開演する前にステージを見た時は、黒々とした陰鬱さをかもし出す、ナショナルでなければ見られない大変大がかりで豪華なセットで、どういう上演となるかワクワク!でも、30分も経たないうちにコクリコクリ・・・。私の英語の聞き取りの問題や体調不良とかまだ残っている時差ボケなどあるにしても、目が覚めている時も感情移入出来ない。『マクベス』って、とても分かりやすい、スピーディーな劇で、日本でもイギリスの上演でも好き嫌いはあってもそれほど退屈した経験はないと思うけど、今回はほとんど退屈しっぱなしだった。
帰ってから何が私にとってしっくりこないのかずっと考えていたのだが、主な原因はヒエラルキーが感じられないこと。この公演では、中世スコットランドはおろか、歴史的文脈を完全に取り除いて現代服での上演にしているが、例えば中近東とか、アフリカの紛争国と言った文脈を示唆するでもなく、どこかのギャングの血なまぐさい縄張り争いのような感じにしている。しかし、セットは、地獄の中か光の射さない密林の奥などのような漆黒で、マフィアの抗争ではなく、やはり内乱だ・・・。ヒエラルキーが感じられないと言うことは、まず衣装の違いがほとんど無い。王だけ、赤いスーツを着ているが、他の人はモノトーンの粗末な衣装。レディー・マクベスは派手な服だが、安いバーのマダムみたいに見る。言葉やジェスチャーも、王や王妃と廷臣達という様式美は一切ない。ナショナルやグローブ座のような大きなステージでは、プロセッションとなった動きや大きな儀礼的動作、それに相応しい様式美を感じさせる台詞の発声等々が劇の雰囲気を高め、私をステージに入り込ませてくれるのだが、そういうものが一切意図的に排除されている。それならそれで、その欠如を埋め合わせるような他の点が面白いかというと、そういう要素は発見できなかった。
面白いというか、凄いと思ったのはセット。巨大な弓なりになった漆黒の橋が観客の方に向けて黒い花道のように架けてあり、そこを使って役者が動き回る時は印象的。でもその他のところでは、ステージを衝立でチマチマ区切って部屋を作って使っているのはあまり感心しなかった。但、オリヴィエがあまりに大きいので、こうして区切るのはやむを得ないのかもしれない。
主役の2人の演技に不満はないが、そもそも上演のコンセプトが納得出来ないままなので、どういう演技が良いのか悪いのかも分からないまま終わってしまった。
とにかく飽きてしまって、居眠りやらぼんやりしてたので、あまり何の印象も残ってない。つまらなくても、もっとよく考えて見てれれば良かったとちょっと後悔している。
0 件のコメント:
コメントを投稿